2007年8月号

糖尿病治療は歯周病の治療から

糖尿病克服5大要素

歯周病と糖尿病

食生活が質、量ともに豊かになった日本では、全国民の20人に1人が糖尿病患者といわれています。この傾向にはますます拍車がかかり、20年後には患者の数は倍増する、という予測もなされているほどです。

糖尿病にかかると、体がだるいだけでなく、網膜症や腎臓病など、全身性の疾患に悩まされることになります。さらに、体中の悪玉の微生物と戦う機能が極端に低下しますから、歯周病菌にも十分に抗しきれず、口の中での増殖を一方的に許してしまいます。そのため歯周病はどんどん悪くなっていき、糖尿病性歯周病とでもいった状態に陥ってしまうのです。現在、歯周病は糖尿病の第6番目の合併症といわれています。

そして最近になって、歯周病と糖尿病との因果関係がしだいにわかってきました。歯周病が糖尿病そのものを引き起こすわけではありませんが、歯周病を治療せずにそのまま放置しておくと、口の中に生じる炎症や感染の持続によって、血液中にTNF-αなどのサイトカインの量が増え、脂肪組織や骨格筋の細胞の糖の代謝機能を妨げ、インスリンに対する抵抗性を高め、インスリンを作用しにくくしてしまうのです。さらに、炎症によって生じた物質のCRP(C反応性タンパク)などは肝臓の働きをにぶらせ、グルコース(ブドウ糖)を分解する能力を低下させます。

インスリンは血液中の糖の濃度を下げるホルモンなのですが、これがうまく作用しなくなると血液中の血糖値をコントロールすることが困難になり、血糖値が上がり、糖尿病は悪化傾向をたどって、同時に病原菌感染を抑える能力や創傷治癒能力までが低下していきます。

糖尿病のコントロールをきちんとするためには歯周病をなおすことが重要で、また歯周病を予防したり進行を防ぐためには糖尿病の治療が大切ということになります。

歯周病と糖尿病。意外に密接な関係なのです。

歯周病と糖尿病はさまざまな因果関係で起り合併症も引き起こします。