2011年4月号

薬を飲みすぎると……

薬イメージ

あなたはふだん、薬を飲みすぎていませんか。 頭が痛いといっては鎮痛剤を飲み、だるいといってはカゼ薬という具合に、薬に頼ってばかりいないでしょうか。そんなに薬は飲まないという人でも、ちょっと考えてみてください。機能性飲料やドリンク剤などをむやみに飲んでいないでしょうか。薬の飲みすぎは、体だけではなく、歯にも恐ろしい影響を与えます。

ある人がアメリカ滞在中に胃ケイレンを起こしたそうです。そのとき、現地の医者に診てもらったら、その人の食生活や常用薬について詳しく聞いたあと、早めの歯の治療を受けるように勧められました。そのわけを聞くと、胃や腸の具合が悪くなる原因の多くは、口の中での咀嚼が不十分なまま、胃や腸に食べ物が送りこまれているからだと言ったそうです。

私たちがふだん食べているものは、食べやすく加工されているので、ろくに噛まないでも食べられるものばかりです。そのせいで、ものをよく噛まずに飲み込む習慣がついてしまい、胃や腸の働きが弱くなってしまっています。

そのうえちょっと胃の調子が悪いといって、すぐに消化剤を飲んでしまう。すると胃自体の働きは必要なくなり、胃液の分泌が減って、消化酵素が出なくなります。ただでさえ弱っている胃がますます働かなくなり、それを助けるために、また薬を飲むという悪循環が生まれます。

さらに腸へいけばまた整腸剤の服用……というふうに、胃と同じ悪循環がここにも生まれてしまいます。このように、体内の上から下まで薬の力を借りているので、逆に薬の手助けがないと、とんでもない病気にかかってしまうということが起こっているのです。

薬にはみんな習慣性があります。もちろん鎮痛剤の常用も危険です。もともと脳の中にはモルヒネのような痛みを止める物質が存在しています。しかし、鎮痛剤を飲み続けることによって、その物質が分泌されなくなってしまうのです。おおげさにいえば、薬を飲みつづけていると、薬なしには生きていけない体になってしまうのです。

この悪循環を断つには、薬の常用をやめ本来体がもっている調整能力を取り戻すことしかありません。薬に頼らず、歯ごたえのあるものをよく噛んで食べて、胃腸や歯、顎を丈夫で美しく保つようにしてください。