2011年8月号

歯磨き粉の使いすぎに注意

あなたは歯磨き粉を使って、歯磨きしていますか?毎日、歯磨きを行うことは虫歯予防や歯周病予防に有効であるのは間違いありませんが、歯磨き粉を使った歯磨きには長所と短所があります。

短所の一つ目は、歯磨き粉の香料と発泡剤の弊害です。 ミントなどの香料や発泡剤の泡立ちは、短時間で口の中がスッキリさせてくれますが、そのぶん磨き残しがあるにもかかわらず歯磨きを終わらせてしまがちになるのです。 歯磨きは、回数よりも、時間をかけて丹念に磨くことが大切です。特に歯周病の改善には歯に付着している歯垢の減らすプラークコントロールと同時に歯の歯茎のマッサージを丁寧に行うことが重要になるのです。

二つ目の短所は、研磨剤の影響です。赤ワインやコーヒーといった色の濃いものを口にすると、歯に色素が沈着することがあります。 研磨剤入りの歯磨き粉を使うと色素が落ち歯が白くピカピカになるのは確かですが、 実は、色素と一緒に歯の表面まで削り落としてしまいまっているのです。時間をかけてじっくり歯を磨くプラークコントロールでは、歯磨き粉は控えめに使用するのが無難といえます。 特に歯根が露出している場合は要注意。歯根は軟らかいので、削られやすいのです。研磨剤を使いすぎた結果、知覚過敏を起こす可能性があります。

最後に長所をあげましょう。歯磨き粉の多くに含まれているフッ素の働きです。 フッ素は科学的に唯一証明されている虫歯予防の成分です。 日本で量販されている歯磨き粉にフッ素が含まれるようになったのは、1990年代の中ごろ。その時期から虫歯にかかる患者さんが急減しているのが何よりの証明でしょう。私たちの口の中は食事にのたびに酸性に傾くため、歯の表面が少しずつ溶け出します。ただし、すぐに唾液の働きで再石灰化が起こり、溶けた部分が回復していきます。その再石灰化のときにフッ素が歯に取り込まれると歯の表面が酸に強いフルオロアパタイトという物質ができ、虫歯になりにくい歯にしてくれます。

歯磨き粉の長所と短所を理解していただけましたか? 歯磨き粉は適量を使えば虫歯を予防したり、口臭を抑えたり、歯の汚れを落として美しく見せる事ができます。 大量に使うのは控え、歯ブラシの先端に小豆粒大(5mm)ほどつけて使用しましょう。