2011年9月号

唾液とガム

唾液イメージ

「甘いもをたべると虫歯になる」といわれています。虫歯は、歯の表面のpHが下がる(酸性度が高くなる)ことによって起きます。特に砂糖をとると、歯のpHが危険値まで下がってしまいます。

もちろん、歯のpHが下がったからといって、すぐに虫歯になるわけではありません。私たちの体には、虫歯を予防するしくみが備わっているのです。そのしくみとは唾液。唾液は歯の表面についた汚れや最近を洗い流すだけでなく、歯のエナメル質が溶けるのを防いだり、再石灰化を促したりして、歯を修復する働きもあるのです。しかも唾液は虫歯の直接の原因となる酸を中和し、pHをあげます。食事のたびにpHが危険地に下がっても、唾液が分泌されることで、数時間内で安全値に戻るのです。

まだ予防歯科が発達していなかった1959年のデータでは、世界各国の一人当たりの砂糖の消費量と11歳から12歳児の虫歯の発生率は明らかに比例関係が認められます。しかし、現在、欧米では虫歯予防を徹底して教えるため、虫歯になる子供が急減しています。彼らはフッ素の積極的な使用に加え、「虫歯にならない食習慣」を心がけているのです。具体的には、食間や唾液の少なくなる就寝前に糖分の多い食べ物をさけることや、代用糖(キシリトール等)の摂取です。

近年日本でもキシリトールなどを使用した歯の表面のpHを落とさないガムが市販されるようになりました。このようなガムをかむと、唾液の分泌が増えて歯の石灰化が促されることがわかっています。

フッ素入り歯磨き粉の使用、歯科医院での定期的なチェックに加え、代用糖入りのガムをかむことも、歯の健康のための習慣に加えてみてはいかがでしょうか?