昔から中津に工場のあった、S硝子株式会社の創始者のお孫さんが、当院に初めて治療に来られました。治療が終わられた後に、受付でいろいろとお話していると、
「歯科で使っておられる麻酔のカートリッジは、ほとんどウチで作っているんですよ。」
「えっ?!ほんとうですか?あの注射器のカートリッジですよね?」
「ええ、そうです。日本製のカートリッジの90%は、ウチの製品ですよ。」
ビックリしました!!こんなに身近に使っているものが、この中津発祥の会社が生産しておられるとは・・・しかも、リドカインやキシロカイン、オーラ注等のガラス製カートリッジのほとんど全てが、S硝子の製品だったとは・・・
当院隣りのビル(1Fセブンイレブン)の土地は、昭和5年頃、S硝子の本社があったそうです。そして、中津4丁目に大きな硝子製造工場がありました。その後、本社は工場の近くに移転して、当院隣りはS硝子の社員寮になったのですが、昭和60年頃、その土地を売却した資金で、富山に大きな製造工場を建設されました。また、中津の工場はつい数年前まで稼働されていたのですが、これも売却されて、今は大型の駐車場になっています。だから、本社だけが、今も中津に残っているということでした。
中津の工場を売却された理由は、都会にある為に、朝の8時から夜の8時までしか機械を稼働することができないので、非効率的だから。今はその売却資金で富山の工場を新しく大きくし、現在24時間稼働して、生産効率を上げている。機械は、一旦止めてしまうと、実際に軌道のラインにのせるのに1時間半ほどかかり、非常にロスが多い。その点、24時間稼働でラインが続き、非常に生産量を上げることができ、コストの削減にもなっている・・・とのお話でした。
当院で今使っているカートリッジを実際に見ていただきました。すると、
「これは、ウチで生産したものと違いますね。恐らく輸入ものでしょう。このカートリッジの肩のところの形が違うんですよ。これは、肩が流れているでしょ。ウチのは、肩が丸くなっているんです。」
「これは、通販の会社で買ったカートリッジです。他にもカートリッジがあったかも?」
オーラ注の在庫がちょうどあったので、見ていただきました。
「あっ、これです。これはウチの製品です。ここの肩のところが丸いでしょ。この方が、圧が良くかかるんですよ。創始者である祖父が開発したんです。そのおかげで今があるんですが・・・」
「すごいですね。おじいさんの写真を中津小学校の校長室で見たことがありますよ。PTAの会長をなさっていたのと違いますか?」
「ええ、そうだと思います。祖父も父も中津小学校出身です。僕は違いますけどね。」
いろんな話に花が咲き、初対面とは思えない感じで、いろいろと懐かしくお話しさせていただきました。
ほんとに奇遇でした。何十年も麻酔で使っていたカートリッジが、実は中津で作られていたものだった!!こんな身近な存在だったんですね。
如何に世の中のことを知らないか・・・ということを思い知りました。
麻酔薬 知らなかったでは ちとマズイ(笑)
人とのご縁というのは、ほんとに不思議なものですね。当院に初診でやって来られる患者さまとの繋がりは、未来にどんな不思議をもたらしてくれるのでしょう?!
まだまだ未知数の「未来のご縁」を楽しみにして、これからも頑張っていきましょう!!
初診 忘るべからず・・・(あっ、ちがうかな)