浩子の部屋

お釣りトラブル

「あの、こないだ電話しとったことやけど・・・これ、領収書。」
と、80歳代の男性が、突然窓口にやって来られました。何のことか分からず・・・
「あの〜、負担金が間違っていたのでしょうか?保険証お持ちですか?」
保険証を確認すると、後期高齢者ですが、3割負担になっています。
「すみません。金額はこの領収書のとおりで、間違っていないのですが・・・」
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「違うんや。あのね、お釣りが多かったんや。私ね、こないだの時に、財布の中に1万円札入れてきたんや。領収書に7040円て書いてあるように、1万円と50円を渡したはずなんや。その時によう見たら良かったんやけど・・・帰ってから、よう考えたら、5千円札1枚と千円札2枚入っとった。お釣りは、3000円のはずやから、このお釣りはもらいすぎや。」
「え〜〜っ?!わざわざお釣りの間違いを返しに来てくれはったんですか?そんなん、こっちのミスですから、黙っといてくれはったらよかったのに。もう済んだことですから、今更分かりませんので、もうお気持ちだけで充分です。」
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「そういうわけにはいかん。こんなにもろたら、わしも困るし。せっかく返しにきたんやから、この五千円札もろていただいて、千円札1枚くださいな。」
「ほんまにいいんですか?こちらの間違いやのに、すみません。じゃあ、お言葉に甘えて、五千円いただいて千円お返しさせていただきます。ほんとにわざわざありがとうございました。」
一昨日の土曜日のことですが、ほんまにビックリしました。世の中には、こんなに正直ないい人がいらっしゃるんやなあ・・・と感心しました。正義の塊というか、曲がったことが大嫌い、生真面目そのもの。そのことひとつで、その方の今までの生き様が分かりますね。でも、ウチとしては、お釣りを間違うということはあってはならないことです。その時に受付を担当していたスタッフがたまたま公休日だったので、今日、間違ったかどうかの確認をしようと思いました。
今朝、そのスタッフに尋ねてみると、
「あの、ちゃんと3010円お返ししました。間違いありません。『10050円いただいたから、3010円のお返しです。』と、説明してお渡ししました。その時、お財布の中には、他にもお札がたくさん入っていました。だから、最初から1万円札だけ入っていたということはありません。」
「じゃあ、ご本人の勘違いということやね。」
「そうだと思います。あの時も、よく分かっておられないようだったので、私も何回もしっかり確認してお渡ししたので、よく覚えていますから。」
「そう〜やったん。ちょっとボケてはる?ということやね。ボケという言葉は良くないけれど、カルテに『お釣りの確認注意!!』と書いておかんとあかんね。また次回のこともあるし・・・とりあえず、4000円またお返ししにいかないと。でも、また押し問答になりそうやし・・・」
それから、どうしようかとカルテを見ていたら、息子さん夫妻のご紹介で来られた方だったので、ご本人に言うより、若いお嫁さんに伝えた方がいいと判断しました。そこで、夕刻にお嫁さんに電話してみました。
「すみません。○○□□の事情ですので、4000円お預かりしています。次回の治療時に清算させていただきますので、ご主人にその旨お伝えください。宜しくお願い致します。」
「まあ、かえってご迷惑をおかけしてすみません。ご親切にお伝えいただいてありがとうございます。私は、義父がそちらに治療に行っていることすら知りませんでした。主人に、ちゃんと伝えますので・・・ほんとにありがとうございました。」
やっと、すっきりしました。ご本人は、ほんまにいい人なんですがね。一般的に、年齢と共に、思い込みが激しい方は増えてきます。今日は、ほんの些細な例ですが、受付は、その方の私的な裏事情や経済的事情、それに体の健康事情(精神的なものも含めて)の三つをトータルに把握していないと、トラブルの的確な判断ができません。
「負けるが勝ち!!」
これは、江上家の家訓です。強き者には、弱者を演じろということです。「損して得取れ」「長い物には巻かれろ」という言葉と意味合いは同じだと思います。商売人であった江上家の、商売で生き抜く知恵であったことを感じとります。
ただし、現実の我が家では・・・
夫には、絶対に折れない、曲げない、負けない・・・私。(スミマセン・・・汗)
あっ、そうか♪
主人は、家訓を守っている・・・ということやね。(笑)

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