佐保会大阪支部の先輩のお誘いで、「人と住まいの健康と室内空気」という講演会に参加させていただきました。日頃聴きたいと思う講演がありましたが、なかなか参加できずにいました。今回は是非に来てほしいという先輩の依頼のもと、佐保会同級生のお友達を誘って、府教育会館たかつガーデンに行ってきました。
講師は、奈良女子大学家政学部住居学科卒の一級建築士で、畿央大学健康科学部の人間環境デザイン学科准教授の東実千代先生です。40歳代のとても女性らしいきゃしゃな体で美人の先生ですが、話し始められると“バリバリ”の先生です。
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冷房がなかった昔の日本の家屋は、「暑さ寒さを如何にして緩和することができるか」ということが課題でした。冬場は、衣類を着こむことでしのぐこともできますが、夏は衣類を全部脱いでも暑い訳です。したがって、冬は辛抱して、夏の暑さをしのぐための、風通しのいい家が作られました。
ところが、現在は気密性に富んだ住まいとなり、室内空気の汚れやカビやダニの発生、化学物質などによる空気汚染が問題となり、アレルギー疾患、特にアレルギー性鼻炎などが児童の5割以上に発生しているという現状になっています。
近年問題になっている「シックハウス症候群」。まず、「なんか調子が悪いな」という不定愁訴が起こります。それで、病院へ行かれて、いろんな科をまわって来られ、最終的な“とどめ”のところでシックハウス症候群とわかる・・・という経過をたどっているのが現状です。
一般的に室内で仕事をしている方は、屋外にいる時間が平均1〜2時間しかないという調査結果があります。室内で過ごす時間が長ければ長いほど、「空気が安全である」ということがとても大切なことになってきます。ところが、現在の住宅環境においては、外と中の空気の関係が、ずいぶん希薄になってきている・・・これが問題なんです。
部屋の中の空気の汚れは、上部には換気口がありますが、下層部は床や壁からの化学物質揮発などで汚染物質が高濃度になっています。特に小さな子供は、大人より床に近いところで生活している(ハイハイなど・・・)ために、汚染されやすい環境にあります。
そして、大きな問題は、「空気の汚れが感覚と一致していない」ということです。
環境において、音・光・温熱等の物質的刺激は感覚的にわかりやすいですが、「臭い・匂い」は化学物質であり一時的に何らかの刺激を与える化学的刺激です。ところが、人間の嗅覚というのは「すぐに匂いに慣れる=順応」という性質があって、この化学的刺激が“わかりにくい”という状態になります。つまり、空気が汚染されているということが分かりにくいのです。例えば一酸化炭素(CO)は無臭ですが猛毒です。だから、無臭=清浄ではありません。
近年においては、室内化学物質に関する規制があったり、建築材料への規制と換気設備設置の義務化が施行されて、規定値以下になり良くなってきていますが、ここに落とし穴があります。昔は家具も少なかったのですが、今の家はいろんな家具が所狭しと置いてあります。家具を入れたことによって、それから出てくる化学物質の量が凄いのです。特にベッドは気をつけなければいけません。輸入物で手に入りやすい価格のものは、ホルムアルデヒド等の化学物質が多い場合があるからです。また、生活必需品である家電製品や日用品からもたくさん発生しています。
オイルショック以来、ダニは増え続けています!!
生活は便利で快適になったという恩恵は受けていますが、その逆のことが必ず起こります。つまり、人間が住みやすいということは、ダニも住みつきやすい。だから、こまめに掃除をしないといけない・・・ということが起こります。ダニは定期的に除去し続けて、ある程度のレベルに抑えて共存するというのが大切です。
また、カビの発生も問題です。生活レベルでは、湿度は40〜60%位が理想的です。湿度が高いとカビが発生し、低いとウイルスが元気になるからです。特に、床面に近いところは、空気が流れにくく対流が少ないために、カビが発生しやすくなります。家具などが置いてあることも原因です。できるだけ要らないものを処分してスッキリさせると、部屋の空気もキレイになるということです。
最後に換気の問題です。「換気扇をまわしているから大丈夫」・・・という楽観的な見方は非常に危険です。室内の吸い込み口からは、空気とともに粉じんも吸い込んでくるので、どんどんホコリが溜まって目詰まりしています。外の新鮮な空気が入ってきている・・・と思ったら大間違いということもあります。吸い込み口や換気扇の掃除、エアコンのフィルターの掃除もマメにして、常にきれいな空気が流れるようにしてください。また、窓やドアを度々開けて、新鮮な外気を入れることも忘れないでください。
<本日のまとめ>
?化学物質の発生ができるだけ少ない材料や物を選び、家具や家電製品や生活必需品のスリム化を図る。
?掃除を隅々まで徹底して、ダニやカビの発生を防ぎ、換気を心がけ、室内空気の清浄化を図る。
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当たり前にある、当たり前の空気を、当たり前に吸えるために・・・
・物が溢れる室内では、まず物を捨てるところから始めましょう!!
・寒い冬、暖房効果は薄れてもまず換気をして、美味しい空気をしっかりと吸い込んでから仕事を始めましょう!!
・エアコンや換気口のフィルターは、特に気をつけて、週に1回はお掃除しましょう!!
「空気を読む」・・・
人の心も、まず自分の心のフィルター掃除からですね。
来年度の理科担当講演会には、歯科の話をしてほしいということで、ウチの主人に白羽の矢が当たりましたぁ〜〜(嘆き)。
えらいこっちゃ、お父さん、たのんまっせ〜〜!!