「おめでとうございます!!やっとほんとうに卒業ですね〜。」
今年3月から通院されていた超歯医者恐怖症だった患者さん(20歳代女性)が、本日完治されました。
「ほんとに、終わっていいんですか?まだ、悪いところがあるんじゃないですか?」
彼女は、まだ半信半疑です・・・
「ほんとに、今日で終わりです。私達もちょっとさみしいけれど・・・」
「じゃあ、3ヶ月後に予約を入れてください。」
予約を入れないと、また通うのが億劫になるかもしれないからと、自ら来年3月に予約されました。あんなに怖がって、固まっておられた患者さんとは思えない、優しい笑みを浮かべられていました。
最初に来られた時は、口元を手で覆い隠すようにして、ほんとに恥ずかしそうに、うつむき加減で話されていました。緊張のせいか、体がロボットのようにコチコチに固まって、「怖いんです」を連発されていました。待合室で座っておられる時も、下を向いて戸惑った表情で、今にも帰りたいという感じが表れていました。
とりあえず、初回はクリアされましたが、次の時も、また次の時も、
「まだ、怖いんです。」
と言って、顔の表情は少し柔らかくなったけれど、体はコチコチのまま・・・
「ほんとにゆっくりでいいですから、少しずつ痛くないように進めてください。」
というご希望だったので、チェアに座ることに慣れていただけるまでは、あまり治療を進めずにいました。
お口の中の状態は、全面改装が必要なほどで、特に奥歯がボロボロになっておられました。痛みもずいぶん辛抱されてきたのは、一目瞭然。
小さい頃に、地元の歯科で相当の恐怖感を味わった感じです。
「もう、治さないと。もう、治さないと・・・」と思いつづけながら月日が経ってしまい、ほんとにやっとの思いで当院に来たとおっしゃっていました。
院長はじめスタッフ全員が、「この方をなんとか完治させてあげて、美味しく食事をしてもらおう」という暗黙の了解みたいなものがあり、温かく見守るような声かけや励ましが自然となされていました。ほんとに一歩ずつという治療の進め方でしたが、5〜6回来られたころには、ごく普通にチェアに座られるようになりました。
「どうですか?もう大分慣れて、こわくなくなりましたか?」
と、お尋ねしたら、
「ええ、まだちょっと・・・でも、前よりはずいぶん気持ちが楽になってきました。」
「もう、大丈夫ですね。少しずつ、治療を進めましょう!」
ということで、お口の大改造計画が始まりました。
それから、麻酔注射も、歯を削ることも徐々に進み、冠もブリッジも装着されました。ここまで、約8か月かかりましたが、見るたびに明るい表情になっていかれて、ほんとに素敵なお嬢さんになられました。もちろん、手で口元を隠すしぐさもなくなっていました。
そして、なんでも積極的に話をされるようになりました。
今日からしばらくお会いできないのは、こちらの方も一話が完結したような喜びと、仲良くなった友人との別れのような憂いがあります。それだけ、私もみんなも彼女を心から応援していたのでしょうね。また、歯以外の相談事でも、来てくださいね。
そして、メンテナンスの定期検診を続けてくださいますように。
「やれやれ(嬉)」と「ふ〜っ(嘆)」が交錯しています。
今度会う時は、「元気にしてた〜〜ぁ♪」ですね。
はにかみ王女は、「歯」を「ニッ」と「噛み」、笑う王女になっていました!!