浩子の部屋

歳末サギご用心!!

いつもの朝礼の時間のことです。
当院駐車場で、毎朝来ていただいている技工士さんが、誰か見知らぬ男性と話をされています。主人が、「車で、なんか当たったみたいやなぁ。」と言っていたので、診療所の窓越しにしばらく様子を見ていました。技工士さんの車の陰で、背の高い眼鏡をかけた50歳代男性が、身振り手振りで何かを説明しているようです。
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しばらくして、技工士さんが診療所に向かってやって来られるのが見えたので、私も裏口から、様子を伺いに行きました。
「どうされたんですか?」
「僕もよくわからないんですけど、さっきここに来るすぐそこで、僕の車と擦れ違った時に、車が当たって、持っていた携帯電話が落ちたと云われるんです。それで、携帯電話が壊れたらしいのです。僕は、さっき、おばあさんが歩いておられるのは知っていて、それを除けようとはしたんですけど、反対側にあの男の人がいることは気が付きませんでした。まあ、ケガをされたわけではないのですが、携帯電話も通じているし、外側のケースの一部が破損しただけなので、3000円だけ払ってくれと言われました。『今持ち合わせがないので、江上先生に借りてきます。』ということで、ちょっと貸してもらえますでしょうか?」
「ええ、お金は構いませんけれど、それでよかったんですか?ちょっと待ってください。」
その話をしていると、向こうからその男性が私の所にやって来て、
「いやぁ、さっきね、そこで車とすれ違った時に僕の右手が車に当たって、携帯電話を落としてしまったんです。車が行ってしまったので、ああもう無理かな?と思っていたんですけど、このあたりをぐるっと捜してみたら、ここの駐車場に止まっていたので、お話してみたんです。当たった時にちょっとここ(右手の甲)をケガしてしまったんですけど、それはなんともないですから。ただ、携帯電話が落ちてここが欠けてしまったので、それを直すのに、ケース代3000円くらいのものですから、それだけいただければいいんですよ。警察には言いませんから。」
と、白い携帯電話のフチが欠けているのを見せながら説明されました。
私もその話を鵜呑みにしてしまって、
「おケガは大丈夫なんですか?いろいろとご迷惑をおかけし、申し訳ございません。ほんとにケースだけでよろしいんでしょうか?」
「ええ、ケガというほどのことはありませんので、大丈夫です。ケース代金だけいただければ、それでいいですよ。」
技工士さんと話がついているようなので、もうそれ以上に尋ねることもなく、お金を渡しました。その男性は、「じゃあ」という感じで、去って行かれました。
そのあと事情を尋ねてみると、技工士さんとしては、当たった感覚もないので、ちょっと腑に落ちないが、警察行ったりするのがめんどうくさいから、「3000円くらいなら、まあいいか」みたいな気分でおられたようです。
「名前は聞かれたのですか?」
「いえ、名前も聞いてないし、どこの人かもわかりません。」
ということでした。
どうも、おかしい!!これは、小銭稼ぎのサギではないか?!
技工士さんもそう思われていたけれど、警察に行ったら時間もかかるし、「ややこしい」というイメージがあるので、3000円で手を打った・・・ということです。
そのあと、技工士さんは、実際に警察に届けを出しに行かれました。警察署では、
「その小さなサギを見逃すと、また騙される人が次から次へと増えていくので、小さなことでも、必ず警察署に先に来てください。」
と、叱られたそうです。
小さな親切、大きなお世話ではなく、
小さな親切心が、大きなお騒がせになりますよォ〜!!
歳末助け合いも大切ですが、歳末サギ行為にご注意あれ!!

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