「もう、50年も一緒に歩んでこられたんですね。」
と、皇居をお散歩されている天皇皇后両陛下にお声かけした、NHKアナウンサーの言葉に、
「そうだね・・・いろいろとあったね。」
と、天皇陛下が、そばにおられる美智子様の背中をゆっくりさすりながら、そうおっしゃる言葉を聞いたとたんに、私は、涙が止まらなくなりました。
いろいろあったね。
だけど、一緒に歩んできて、ほんとに良かったね。
ほんとに、貴女もよく頑張ってきてくれて、ありがとう。
ずっとそばにいてくれてありがとう。
そういう感謝の気持ちと、自分の体を大切にして、自分をいといなさいという感じが、その一言にいっぱいつまっているような気がして・・・
「日本の象徴」として、歩んでこられた50年の歩み。
ここ最近、テレビをゆっくり見ることがなかった私ですが、天皇陛下と皇后様の素顔を映し出したNHKのドキュメントに、見入ってしまいました。
こんなにも、「日本」という国を考え、日本という国の平和や世界の国々との繋がりを考え、日本国民の一般人の心のありようを考えてくださっていることに、ほんとに驚きました。
私たちが考えもしない、両陛下の日常、私生活、国際親善等々・・・
いつも、様々な分野の専門家であったり、著名人であったり、国際貢献をした人々であったり、そんな人ばかりではなく、皇居の草取りをするボランティアの団体の方にまで、お声かけをされたり・・・
私の知らないことばかり・・・
平民である私たちの目線になりたい・・・それが、如実に映像から感じられました。普通にテレビ放映用に脚色されたものではなく、皇居の庭を、2人でお散歩されながら、2人で花や木や鳥を眺めながら、2人でささやかれている言葉の数々。それは、誰が入れ知恵したようなものでもなく、ごく自然に体からあふれ出てくる言葉であり、優しさであり、あたたかさであり・・・
ごく普通の夫婦の会話であり・・・
いたわりあって、お互いを認め合って、深い意味での大きな愛を持って生きてこられていることを、心にじ〜〜んと沁み込むような感じで、受け取りました。
天皇家に生まれ、確固たるしきたりの中で育ってこられた天皇が、自らの結婚を機に、美智子様との「家族」としての生活を始められたこと。美智子様との出会いの前に、自分はこういう特別な生まれの中にあって、3歳の時から両親と離れて育った、その辛さや苦しみや悲しみを、自分の子や孫に味わせたくないという思いで、自分に無い「深い思いやりの心」・・・を持った人を妻にしたいとおっしゃっていました。
そして、その「思いやりの心」で、僕に無いところを助けてほしいと・・・
その「思いやりの心」を、美智子様に出会われて、おふたりで育んで来られたことを、今日、ほんとに初めて分かりました。
たくさんの公務がおありの中で、ふたりの時間を大切にしようとなさるお姿に、ほほえましい夫婦、ともに支え合って、ともに泣き、ともに喜び合って生きてきた夫婦像を、垣間見せていただきました。
美しい心を持って、この「日本の象徴」という名に恥じないよう、自らを律し、そして、おふたりで深い人間愛を育ててこられたことを心に感じ、感銘を受けました。
私達平民にとっては、遠い遠い存在。
雲の上の人であり、ほんとに素晴らしい虹色のオーラを持たれたおふたりです。天皇の公式の平安装束の色は、太陽が真南に来た時の燃える色。これは、天皇以外の方は誰も着用できないそうです。天皇は、一番真上に輝く太陽であり、神であることを古代から象徴していたのですね。
ただ、形としての「神」ではなく、自らが国民1人1人のことを思い、この日本の国をどういう方向にしていけばよいかを、ずっと自らに問い正していらっしゃるお姿。
神の前で、神に、平和や日本の国の行く末をお祈りするだけではなく、自らが、そのためにどういうふうに歩めばいいか、どういうふうに人々に語りかければいいかを、神の前で誓い、いつも覚悟を決められて自分自身を高めていこうとされているのが、ほんとに実感できました。
この番組を作られた方々も、天皇陛下や皇后様の、ほんとにいたいけのない、私達から見てほんとに「あどけない」お人柄を画面に表されるのに、すごい工夫をされているのではないかと思いました。この番組の間中、世の中の「世知辛い、慌しい、醜い」ことから、一切解き放たれたように・・・私自身が見入っていました。
そして、この感動を、皆様にも是非お伝えしたいと思い、ここに記しました。
「日本の象徴」とは、すごい重責を背中に負い、それを苦とも感じず、国民の喜ぶ顔を見るがために、ひたすら奉仕の気持ちを持って、人に接する立場である。こんなにも大変なことをされているのに、ご夫婦の日常は、かくも自然で、かくも穏やかで、かくも愛に満ち溢れていることに感激いたしました。
私達一般人の心の狭さ、自分というものが「ただ1個」の人間であり、弱きものであり、いろんな人に支えられて生きている、ささいなささいな人間であることを今日あらためて感じ、自らを振り返り、将来に向けてどうあるべきか、どうありたいか・・・を問い正す良い機会をいただきました。
傲慢で、放蕩で、旋風を巻き起こす張本人で、自分ありきの世の中やと思っている「大阪のおばちゃん」・・・これは私のことですよ!!(笑)
しっかり反省して、これからの世の中のために、天皇皇后両陛下の「御心」のほんの一端でも、まねごとでもできたらいいですね。
「サイパンを訪れたい。」と、自ら申し出られた天皇。
日本のつらいつらい過去を、自分から向き合い、正面から受け止めようとされる姿勢。
我々国民は、この「生きている神」の存在によって、ほんとに助けられているんですね。
あの青く澄んだ空が「天皇の心」、ぽっかり浮かぶ白い雲が「皇后の心」
みたいに感じた一瞬でした。