仏蘭西菓子「御影高杉」のシェフパティシエ・高杉良和氏のトークショーがあるというので、主人と阪急百貨店まで出かけて行きました。高杉さんは、主人の遠い親戚にあたる方です。デパートに出店される以前には、数々の洋菓子コンテストで優勝や入賞をされ、阪急御影駅前で、本高砂屋「高杉事業部」として店「御影高杉」をオープンされました。

神戸に本物のフランス菓子の味を届ける店を作りたいという、高杉さんの熱意の表れた店です。１０数年前、初めて行かせていただいた時は、「なんとオシャレな～～！！」と感激しました。場所もさることながら、上品で高級感あふれるお店づくりと、出てくるお菓子のデコレーション、食べた時の濃厚な素材の味・・・「すごい～♪」と驚きの連続でした。

その当時、高杉さんは、とても材料にこだわっているというお話でした。
「良いお菓子作りには、いい素材がないとできないんです。」
「こんなに美味しいものだったら、もっと多くの方に食べていただけるように、デパートなどに出店されたらいですのに・・・」
「ええ、でも、大きくなると、充分な素材が確保できず、質が落ちてしまうから、デパートなどには出したくないんです。この味を守っていきたいんです。」

当たり前の話ですが、本物を追求しようとされる職人根性を垣間見ました。パン作りでも、数々の賞をもらっておられると聞いておりましたので、ここだけに留まっておられるのは、本当にもったいない話だと思っておりました。

それから数年後、阪急百貨店に「御影高杉」が出店され、びっくりしました。裏側で、いろんな交渉があったことと拝察します。高杉シェフの味や質を維持して、多くの方に美味しさを味わってもらうという試みが始まったのだと、感心して見守っておりました。売り場に、時折顔を見せられる高杉シェフにも、何度かお会いしました。

今回、阪急のお歳暮の企画で、トークショーを開催されるのを知り、是非にお話を聴きたいと駆けつけました。
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砂糖は、保存剤です。砂糖を少なくしてしまうと、本来のお菓子の持つ素材の良さがすぐに損なわれてしまいます。ある程度の甘さは必要です。そして、美味しいお菓子は、良い材料でないとできません。安い材料でいいものは、絶対にできません。ごまかしはできたとしても、「本物」ではありません。良いお菓子作りには、費用がかかります。今回の「ベラベッカ」は、ほんとに良いものしか使用していません。しっかり味わっていただきたい。

フランスのお菓子は、たくさん食べるのではなく、少しずつ食べていただいて、身体に優しく、少しで満足して、高級感を味わうものです。だからこそ、素材がものをいいます。素材は充分に吟味しております。そして、素材の風味を生かしたお菓子作りに、日々邁進しております。

私は、６２歳ですが、毎日休みなく調理場に出ています。家内にも、いつまで仕事をするの？と言われますが、毎日が楽しいのです。お菓子作りに、「これでいい」ということはありません。もっといいもの、もっとおいしいもの、もっと感動してもらえるものに出会いたいのです。お菓子を作っていることが、最高なんです。今が一番楽しいです。

専門学校に講師としても教えに行っています。昔の若いお嬢さん？にも集まっていただいて、お菓子作りをしています。美味しいものは、私が作ったから美味しいのではなく、誰が作っても美味しいものができるように、指導することが大切だと思うのです。素材、量、タイミング、道具の使い方にいたるまで、懇切に指導します。

「いままでにいろんな教室に行ったけれど、こんなに道具ひとつひとつにまで、愛情こめて教えてもらったのは、初めてです。」
と、言っていただくことも、よくあります。

私は、職人根性なんですかね。みんなが美味しいものを作り、美味しいものを食べて、笑顔になっていただく・・・それが嬉しくて楽しくて、毎日を元気で過ごさせてもらっています。皆さんにも、是非、このお菓子を召し上がっていただき、少しの「贅沢な時間」を過ごしていただけたらと思います。本日は、ありがとうございました。
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本当に、素晴らしい「職人気質」ですね。そして、一筋に打ち込む「職人魂」を見せていただきました。何年か前にお会いした時のままの、お菓子作りへの「まっすぐな姿勢」に感動しました。男のロマンに触れた気がします。

洋菓子の　栄えある勇士　ラマンチャの
見果てぬ夢を　追いかけて