第2回分子栄養学の勉強会に行ってきました。今日は、「消化管への期待」というテーマです。最近、腸年齢とか、NHKテレビ番組でも放映された「腸内フローラ」とか、腸に関心が集まるような話もあります。腸内フローラは、アンチエイジングに直結しています。プロバイオティクス(人体によい影響を与える微生物)のうち、特に乳酸菌の消費量は、日本はヨーロッパに次いで高い国です。
消化管の基本構造と役割について、学びました。口腔・胃・肝臓・胆嚢・膵臓・小腸・大腸の順です。お口の環境が悪いと腸の環境も悪い。たとえば、歯周病から全身疾患へと広がることが最近明らかになってきました。お口は、雑菌を殺菌してくれるところ、感染予防するところ・・・という、非常に重要な機能を担っています。
また、免疫機能の70%が腸管由来です。例えば、ヨーグルトの乳酸菌により腸内改善をし免疫力をアップして風邪予防・・・というようなことです。小腸では、ぜん動運動により食べ物が下へ下へと送られ、また、刷子縁酵素(微絨毛と呼ばれる小さい突起が密生していて、ここには吸収 に関連する種々の酵素が存在している)により化学的に消化され、水分やイオンが吸収されます。大腸では、ミネラル系のものや水分が吸収されて、便が形成されていきます。また、小腸で未消化のものが細菌によって発酵され吸収されます。
<消化管の4つの主要メカニズム>
① 消化・吸収・排泄
② バリア機能(粘膜バリア)
③ 免疫機能
④ 常在細菌叢との共生関係
小腸の細胞は、「タイトジャンクション(密着結合)」という、細胞間が非常に密接していて、細胞間は糸で縫われたように細かい繊維で密着するような構造になっています。そして、表面は0.1mmの粘液層(ネバネバの物質)で覆われています。この粘液層がとても重要です。これが壊れると、私のようにリーキーガット症候群になり、遅発型のフードアレルギーになります。
腸内には、1000種の嫌気性細菌が生息し、その数は100兆個以上といわれています。ヒトの全身の細胞数が10~60兆個とであることと比較すると、如何に多いかということが分かります。例えば、赤ちゃんが生まれる場合には、産道を通る時にはじめて母親の菌に触れます。帝王切開の場合は、手術による道具などに付いている菌に感染し、アレルギー等になる場合が多いようです。また、腸内細菌叢が悪いままの母体で子供を産むと、発達障害とかがおこってくるといわれています。つまり、腸内細菌叢のインバランス(不均衡)が問題なのです。
<腸能力・・・腸は第2の脳?>
① 脳とは独立した独自の処理システムを持っている
② 「幸せ物質」が合成される
③ 自前のエネルギー産生システムを持っている
④ 最大の免疫器官である
・・・ひとやすみ・・・
寄生虫博士といわれている東京医科歯科大学・藤田紘一郎名誉教授が、「清潔はビョーキだ」と言っておられたように、「成長過程において、どれだけの菌に暴露できるか?!」が免疫力UPの決め手になります。抗生物質等の薬を頭から否定するのではなく、善玉菌を死滅させたあとのフォロー、つまり乳酸菌等の補充が大切なことなのです。火事を消すのが抗生物質等の薬、そのあとの家を建て直すのが栄養やサプリメントです。
腸内細菌叢との共生の破綻は病気を招く
<消化管と全身疾患の関係>
過敏性腸症候群・感染症・自己免疫疾患(関節リウマチ炎・炎症性腸疾患・セリアック病)・アレルギー(アトピー性皮膚炎・花粉症)・脳神経性疾患(うつ・自閉症)・糖尿病・脂質代謝異常・悪性貧血・肝疾患・腎障害・慢性疲労症候群・がん・循環器疾患・骨粗しょう症
消化能力の低下と腸管粘膜が疲弊していると免疫異常となり、遅発型フードアレルギーになる。逆に、消化能力が上昇すると、きちんとアミノ酸に分解でき、アレルギーは起こらないようになる。特に、5大アレルギー(大豆・乳・小麦・卵・甲殻類)を、普段の食事でどの程度摂取しているかどうかを調べる注意が必要です。
「ライフスタイルメディスン」という生活習慣を直接変えていく医療が望ましい!!
今、医学部で流行しているものは「コーチングスキル」です。特に、便のことは、人に伝えにくいし、日内変動が激しいために詳細に伝えることが難しいものです。健全な消化管の状態がどんなものかを、だれもが客観的に判断しにくいものです。だからこそ、患者さんにどれだけ対応できるかという能力がお医者さんに問われています。
腸管がギブアップしたら、我々は病気だらけになる。
ただ、栄養を入れる、カロリーを摂る、お腹をふくらませる・・・という急いで食べる「とりあえず食」は、胃や腸の運動にも影響を与えます。
食事で一番大切なことは・・・
☆楽しくスローフードで!!愛する人と一緒に!!☆