2008年5月号

歯ぎしり(その症状・治療)

歯ぎしり

キリキリと驚くほど大きな音が鳴る歯ぎしり。
長く放っておくと、健康な歯でもすり減ったりもろくなったりします。歯周病を悪化させることもあります。
歯ぎしりを止めるのは難しいですが、歯への悪影響を回避する治療は可能です。

ストレスも原因

歯ぎしりの発症に男女差はありません。年代別に見ると、あごの力が弱くなる六十代以降では比較的少ないですが、子供から大人まで広く症例が存在します。
どうして歯ぎしりが起きるのかのメカニズムは、まだよくわかっていませんが、原因として「あごの咀嚼(そしゃく)筋の極度の緊張」「仕事など日中にたまったストレス」などが考えられています。

歯を食いしばったりきしんだりする動作を根本的に治すのは難しいことですが、かみあわせ状態によっては歯ぎしりが長引くと、歯がすり減って変形、ひび割れることがあります。また、生活習慣病との関連性も指摘されるようになった歯周病が進行するケースもあります。

歯ぎしり対策

第一の対策は、樹脂やゴム製のマウスピースをはめて寝る方法です。マウスピースはボクサーなどが使うのとほぼ同じもので、あごが横に動くのを防ぐと同時に、歯を守る緩衝材として働きます。症状に応じて、上下両方必要な場合と、片方だけで済む場合とがあります。これには健康保険が適用されるため、型を取る費用や診察料を除くと、自己負担は4~6,000円で済みます。

負担を犬歯だけに集中させて、ほかの歯の磨耗を防ぐ「犬歯誘導」と呼ぶかみ合わせを作る方法もあります。着脱式の薄い金属板を上あごの犬歯から奥歯の内側に沿って装着し、上あごの歯には下の犬歯だけが触れるようにかみ合わせの間隔を調節します。あごが左右に動いても、下の犬歯が金属板の上を滑るので、ほかの歯には負担がかかりません。

歯科矯正については、他の顎関節症や歯周病の改善が期待できる場合を除いて慎重に行う必要があります。

音のしない歯ぎしりもあります。

理由もわからずに歯が磨耗していたり、起きた時にあごのだるさを感じたりするのが続くようなら、一度歯科に足を運んでみてください。