2008年4月号

古い脳がストレス発散

脳のつくり

五百万年前、人類の祖先は、ホモという人科に分化しました。四百万~五百万年かけて二足歩行という非常に特殊な行動をとる動物に進化しました。この変化の中で一番大きく変わったのは脳でした。

ただ大きくなったのではなく、新しい脳を古い脳の上に積み重ねるという方法で大きくなっています。脳の構造からいうと、脳幹の上に大脳辺縁系があり、その上に大脳皮質という脳を作り上げました。

脳幹にはいろいろな機能がありますが、重要なのが生命維持の機能です。脳幹に障害を受けた場合は自律神経やホルモン、呼吸にまで影響を及ぼしているので、人間の命そのものが危機にさらされます。つまり脳幹は生きるための脳と言うことができます。

次に大脳辺縁系は本能の役割を担っています。そしてその外側の大脳皮質は、本能的な情報を処理または抑制し、理性的な行動をとることを可能にしています。

このように、古い脳は新しい脳から抑制を受けるため、ストレスを受けます。このストレスを発散させるために、二次的に体の中で一番硬い咀嚼(そしゃく)器官(歯や歯ぐきなど)を利用しています。これが歯ぎしりや食いしばりです。

ご存じのように、歯ぎしりは咀嚼器官に大きな負担をかけるため、この負担に耐え得るよいかみ合わせを作ることが大切です。

よいかみ合わせを得るには、歯科矯正治療を受けるほか、マウスピースを作成装着したり、入れ歯やかぶせの治療をきちっと受けたり、簡単なかみ合わせの調整など、いろいろあります。