2008年3月号

歯周病がメタボを招く!?

メタボ

「歯周病」が動脈硬化など全身疾患と大きくかかわっていることが分かってきました。

例えば、歯周ポケットから入り込んだ細菌が、心臓の弁膜にへばりつき、細菌性心内膜炎を起こしたり、動脈が硬化して動脈瘤ができた部分にも歯周ポケット内に多い細菌が発見されるなど、多様な疾患との関連が明らかになっています。

また、無関係に思えるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の主要因の一つとしても注目されています。

2007年7月に、フランスで興味深い論文が発表されました。

歯周病を引き起こす細菌が持っている毒素を構成する「リポ多糖(LPS)」を4週間持続的にマウスの皮下に埋め込むと、肝臓と脂肪組織に脂肪の沈着がおき、重量が増して体重が増加し、肥満状態になったというものです。この状況は高脂肪食の摂取により増強されますが、無菌動物では高脂肪食を与えても体重の増加は起こらなかったようです。

歯周病になって細菌が血流から頻繁に入ると、体内は常に毒素に抵抗する状態になるので、その刺激から脂肪組織や肝臓に中性脂肪の蓄積が起こります。このため脂質と糖の代謝に大事な役割を果たす肝機能が低下して、肥満のひとつの要因となっている可能性があります。

あまり食べないのに太りやすかったり、肥満が気になる人は一度歯周病の検診を受けてみてください。