浩子の部屋

経尿道的切除術

早朝、ぐっすり眠っているとことに、看護師さんがやってこられました。
「おはようございます。お熱と血圧を計らせて下さいね。」
まだ6時なので、外も真っ暗です。
病院の朝は早いのだ・・・と実感しました。
夕べの夜10時から、飲水禁止で、朝食もとらずで、手術に備えます。
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9時前には、担当医の先生がわざわざ挨拶に来てくださいました。
「おはようございます。本日午後1時半より手術させていただきます。どうぞよろしくお願いします。麻酔を入れて、約1時間くらいで終わると思います。」
先生の方から頭を下げていただき、本当に恐縮の極みです。
病気をつくった私の為に、執刀してくださるのに、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
その後2人の看護師さんが挨拶に来られ、泌尿器科主治医の先生も来てくださいました。システムとは言え、手術を受ける身にとって、礼を尽くしてくださるということは、
「安心と信頼を生む」ものなんですね。
トイレ掃除に来てくださったおじさんも、
「失礼いたします。トイレ掃除にまいりました。よろしくお願いします。」
ときちんと挨拶されます。そして、終わったあとも、
「終わらせて頂きました。ありがとうございました。」
と、お世話になっているのは私の方なのに、向こうからお礼を言われるのに、ビックリしました。
昔に抱いていた私の病院に対するイメージが、今は全く違うんだと感じました。皆さんが、丁寧で優しくて低姿勢で・・・「診てあげる」という気配がないのが、不思議です。
まるで高級ホテルの待遇???
自分が病気をつくって、迷惑をかけ、お世話になるのに、ほんとに申し訳ないやら、情けないやら・・・
皆さんに心から、頭が下がる思いです。
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10時から点滴を受けるので、水色のエプロンのような手術着に着替えます。ポタコールR輸液500mlを2本点滴します。これは糖質や電解質の入ったもので、熱量は100kcal/500mlです。食事を摂取できないので、その代わりの栄養源ですね。
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足には、寝ている間にうっ血して血栓が脳に飛ばないように・・・というための圧迫靴下をはきます。
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午後1時20分、いよいよ手術室へ歩いていきます。
手術室に入ると、すぐに執刀の先生が待っていてくださいました。
そしていざ、手術台に乗ります。
台の上で横向きになり、背中をまるく丸めて腰椎に麻酔注射をされます。針を刺す時に少し痛みますが、あとはぐっとこらえず(ここが大切)息を吐き切ります。すると痛みは全く感じません。
しばらくすると・・・右足全体がしびれがきれたように、じんじんと痺れます。
だんだん左足も痺れてきました。すると仰向けになって、両足を上げるように足を運んでくださいます。それと同時に、私の胸の上にはタオルがかけられ、手術の様子が見えないように配慮されます。
下半身を先生がなでるように触って、
「なにか触れている感じはありますか?さわっているのが、わかるくらいですね。じゃあ、手術始めますよ〜。」
内視鏡のカメラが捉えた映像が見える画面をこちらに向けて、
「江上さん、画面見えますか?これが腫瘍ですよ。これが電気メスです。今から取りますからね。」
と、先生が優しく声をかけてくださいます。
実際の手術の様子は、少し斜めになった(先生が見えやすい状態になっているので)画面を見ながら、電気メスで焼き切って除去されていくのを観察します。少しずつこそげ取る感じで取り除かれ、手術は開始から15分で終了しました。
終わったら、すぐに自分の病室に戻りました。運ばれる間に揺れて少しムカツキがきて、あとで嘔吐しました。これは麻酔薬のせいだそうですが、吐いてしまうと後は気分もスッキリしました。両足は全体がしびれていて、木のような棒状になり、動かそうにも動きません。まっすぐになっているのに、ひざを立てて曲げているかのような感覚です。
手術中の見舞いに来てくれていた、主人と娘が帰ったあと、先生が、取った腫瘍の部分をビンに詰めて見せに来てくださいました。
私から出産した異物(?)です。
作った私が悪いのです。こんな目にあって、私の体ごめんなさい。ずっと悲鳴をあげていたのに、知らんふりをしていたのは私です。(反省しきり・・・)
これからは、悔いあらためて、私の身を守りながら過ごすように努めます。
そんなことを考えながら、眠りました。夕方には両足のしびれもとれました。
何より辛いのは、「水」を飲めないこと。
絶食はどうもないですが、水が飲めないことほど辛いことはないですね。痛みの方は、点滴のおかげなのか、全くありません。ず〜っとウトウトする状態です。夜勤で来られた看護師さんが、気を遣って、そっと水を「吸水器」に入れて持って来てくださいました。一口いただいて、
「ほんまにありがたいですわァ〜!!」
水の大切さもここで知ることになり、またその看護師さんの優しさも、水と一緒に心に浸み入りました。その吸水器の水を夜中に大切に、一口ずついただき、なんとか一晩をしのぎました。
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体がしんどい時って、ほんまによう眠れるもんですね。
傷を治そうと思い、体の自然治癒力が集結するからですね。
下腹部に手を当てながら、「懺悔(ざんげ)」の一日です。(苦笑)

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