さとう式リンパケアの歯科医師・佐藤青児先生に出会ったのは、10年前です。ほんだ式口臭治療の近畿圏の提携クリニックが集まるブロック研修会の時に、顎関節症を画期的なリンパマッサージで治しておられる先生だとお聞きしていました。その方法を是非教えていただきたいという先生方が集って、当院で実践していただく機会を得ました。
耳の下の顎関節のところを少しくるくると回して緩めて、頬の筋肉(咬筋)の表面を撫でるように擦り、下顎を前後左右に動かして、歪んでいる咬み合わせを少しずつ元に戻していくという手法です。顎関節症は、日常の姿勢であったり、頬杖をつく・片噛み・食いしばりなどの習癖であったり、虫歯を放置されて奥歯が咬めない状態であったり・・・と様々な要因で顎の軸が歪んで発する症状です。
まずは、その顎の軸を正常な状態に近づけていくのが目的ですが、咬筋があまり動かず固まっているので、耳の根元から緩めはじめ、顎全体を緩めて、下顎を正しい位置に戻していくのです。しかし、下顎だけを緩めてもすぐに元に戻ってしまうので、顎関節から首のラインを通して、鎖骨の部分までリンパを流して、両腕回しをすることで、井戸水を手動ポンプで汲み出すように、流していくというイメージでした。
顎関節症の方は、顎だけではなく、肩もカチカチに固まっておられます。それが、見事にゆるゆるになって、顎も痛みが取れ滑らかに動き、肩こりも解消するという「すご技」を見せてもらいました。こんなに簡単な原理だったの?と、少しキツネに摘まれたような気持ちでした。でも、我々の固定観念をはずしていただける衝撃的な出来事でした。
その後、さとう式を広めようと、佐藤青児先生は、全国のいろんな所で講習会を開催されていきました。私達夫婦も再度受講させていただきました。そして、さとう式の免状が送られてきたのです。ディプロマ(認定番号)は、0012と0013でした。今から思うと、すごい初代ということになります。
それから、さとう式はどんどん進化して、リンパマッサージではなく、「揉まない・押さない・引っ張らない」という、今までのマッサージという概念を超えた「さとう式リンパケア」として確立されていきました。その様子は、佐藤先生からのメールで見させていただいておりました。7年前にはDVDも発売され、私どもにも送ってきてくださいました。
青児先生のご活躍は陰ながら見させていただいていたのですが、娘の結婚、孫の相次ぐ誕生、医院の新築、娘家族の被災など、大きな出来事がいっぱいありましたので、なかなか腰があがりませんでした。でも、いつかは講習会に参加したいという思いは、ずっとありました。
顎関節症の患者さんがとても多いのに、リンパケアをきちんとできない自分にもどかしさがありました。
そして、昨年7月、フェイスブックを見ていたら、佐藤青児先生からお友達申請をいただきました。「あらっ、嬉しい♪」と、早速に承認申請しました。FBから先生のご活躍が一気に伝わってきました。でも、その時は、母が老衰で何時逝くかもしれない状況であり、私の右手小指もピアノの練習で痛めて辛い思いをしていました。
8月末に母を見送り、49日を迎えるまでに、右手小指を整形外科の先生に診てもらいました。診断は、「へバーデン結節」という手指の第一関節だけが全部変形していくという、現代では治らない不治の病と伝えられました。
「どうしたらいいのだろう?もうピアノは一生弾くことができなくなるんだろうか?」
と、大きな不安の渦の中に入り込みました。
ドアのノブさえ回すことができなくなる。手全体が痛いと、字を書くことも仕事もできず、自分で自分の身の回りのことすらできなくなる。家族に負担をかけ、出かけるのさえ苦痛になり、私は60代で、このまま次第に世の中から忘れられていく存在になるのか・・・
実母を見送って、私が人生でしないといけない責任みたいなものは全て終わったから、神様が次の試練をくださったのか・・・
そんな折、診療所で仕事をしている時に、娘がひと言・・・
「お母さん、西洋医学やから治らへんのとちがう?」
そうや!!病院で治らないなら、他の方法がある!!探せばいいんや~!!
自分の膀胱癌も手術のあと、免疫細胞療法を受けて完治したことを思い出しました。
それからすぐに、私はパソコンに向かいました。へバーデン結節の治療で検索し、近所の整体を見つけ、早速に予約しました。そして、自分の体と向き合うため、以前から習いたかったさとう式リンパケアの佐藤青児先生の10月講座の申し込みを完了しました。
さとう式リンパケアは、昔と随分変化していました。基本は同じだったのですが、「耳たぶ回し」と言っていたものが、ほとんど回さない・動かさない、ゴマ粒くらいに揺する程度で、触れるのも20g重以下の圧力で、手のひら全体で触る感じです。基本が、触れる・揺らす・息を吐くという、耳の根元から「緩める」イメージです。
自分が「施術しなければ・・・」という頑張る意識は、より力が入り、相手にも負荷をかけてしまいます。自分に「ゆるゆる・ふにゃふにゃ」と言い聞かせながら、肩回しをします。でも、回さなければという意識が強すぎて、しっかりと回してしまいます。お互いに力の入らない状態で、お互いに緩んでいく感じに回す・・・力を入れて力を抜く・・・これが本当に難しいのです。
リンパケアの初級・上級と、筋肉を緩める基本と応用も全部受講しました。でも、全部受講したから「できる」ものではありません。全体像がわかっただけです。それから、練習会に通い、さとう式の奥の深さを日毎に感じることになりました。「よし、インストラクターを目指すぞ~!!」と思った時、私の体は堅さが少しずつ緩んで、手指の痛みもほとんど感じなくなっていました。
そして、驚いたことに、当院女性スタッフ13名のうち5名が顎関節症であることが発覚!!
「え~~っ、灯台下暗しって、このことや~!!」
20歳の若者が、こんなにも身体が堅く、コリ固まっている。この私よりもずっと・・・
下顎を上顎より前に出せない、いわゆる顎が上下にしか動いておらず、前後左右という運動ができていない。ほんとに衝撃でした!!
これは辛いことでしょう。顎だけではなく、肩も腰もガチガチです。中身は、金槌かと思うくらいに堅いのです。今までこれで生きてきたんやから、これが普通と思い込んでしまったようですね。年寄りの私が元気すぎて、私が異常であり、特別なんだと思われていたんです。
こんな体の堅い若者が、世間いっぱいに溢れているんだと気づきました。顎関節症はほんの一部の人のことだと思っていました。このままだと、今の人達が私達の年齢になった時、どんなになるんだろう。今でもしんどい体なのに、これからの日本を支えてくれる人達のはずが、支えてもらえなくなる・・・という危機感を抱きました。
さとう式は、ほんの少しのことで筋肉が緩み、肩こりや腰痛も解消します。ただ、そのまま放置するとすぐに戻ってしまうので、ケアを続けていく必要があります。さとう式は、施術を受けるだけではなく、日々、自分でセルフケアができるので、徐々に良くなっていきます。アンチエイジング効果もあり、シミやシワも次第に薄くなります。
さとう式に出会った今の私は、「老化」という言葉が頭から消え、より良くなっていくことをイメージしています。いくつになっても、体は順調に機能して欲しいものです。そのためには、こまめなメンテナンスをすることが大切です。
死ぬまで生きる!!
当たり前のことですが、命ある限り、世の為・人の為に役に立ちながら、楽しく、明るく、健康的に生きていきたいと思っています。そのためには、
頑張る→歯を食いしばる→肩こり・筋肉痛→偏頭痛・顎関節症・アレルギー等々。
というサイクルを無くし、
楽しむ→笑顔→口腔が広がる→肩こり改善→身体が楽→やる気・元気→より心が楽しい。
というサイクルに換えていく。
頑張らない・努力しないで、目の前のことを受け入れて、心から楽しむ。ただそれだけ・・・
さとう式リンパケアが教えてくれたもの・・・
それは、自分という身体機能を存分に高めることで、病気への不安がなくなり、老いの未来が、明るく楽しく希望に満ちた世界になるということです。そして、どんな人にも明るい未来や希望をもたらします。
さらに、もうひとつ・・・
自分の様々な病気や障害を乗り越えて、明るく楽しく人生を謳歌しておられるお仲間がいっぱいおられるということ。皆さんのお話を聴くだけでも感動し、元気と勇気をもらえます。
最後に・・・
リンパの根幹となる「あご」は、発生学的にも一番大切なところです。
大きくてよく動く「あご」は、生命力に溢れています。
でも、こんなに発達しなくてもいいかも・・・???(笑)
より美しく より楽しく より幸せに生きる