お天気のいい朝、中津を歩いていると・・・
「あらっ、もうサクラが咲いている?!」
見事に満開です。道行く人たちが、みんな見上げながら歩いています。もう、ほんまに春がやって来たんですね。中津の古いガードと貨物列車とサクラ・・・を見ていると、30年前から変わらぬ景色であり、懐かしい、ほっとする感じがあります。
道路に面した小さな庭に、いつもたくさんの綺麗な花を咲かせておられるご近所さんです。季節ごとに楽しめるように、様々な香りや色を上手く組み合わせておられます。もう、ボケの紅色の花も咲き始めていました。新緑の葉とともに、「春色」を思わせます。ビルの谷間にいる私達にとって、ほんの小さなオアシス的な場所。公園以外では、なかなか土を見かけることのできない都会では、貴重な存在です。
さて、この早咲きのサクラは、いったい何というサクラなのでしょう?
おしべがびっしり付いていて、梅のような桜のような桃のような・・・
インターネットで調べてみると、やはり「彼岸桜」のようです。梅より遅く桃より早く咲く・・・と書いてありました。ちょっとサクランボの花にも似ていますね。
大昔、実家の庭に、サクランボの樹がありました。やはり一般の桜より、いつも一足先に咲いていました。花は小ぶりで色は少し白っぽく、おしべがくっきりとしていて、いつもミツバチがブンブンといって寄って来ていました。幼い頃、その光景を2階の窓から、飽きもせずにずっと眺めていました。今でも、そのミツバチの羽音と甘酸っぱい花の香りが忘れられません。そして、5月ごろには、いつも真っ赤なサクランボが鈴なりになっていました。
その樹は、よしゑおばあちゃんが嫁に来てから植えたものだそうで、私はその甘いサクランボを食べるのが、とても楽しみでした。ひよ鳥もよく食べに来ていましたけど・・・。父がはしごを使って、樹のてっぺんのサクランボの枝を切っていたのを思い出します。このようにサクランボの樹ひとつにも、想い出がいっぱい詰まっていたんですね。ポカポカ陽気の静かな庭の縁側で過ごしたひととき。ゆったりとした満ち足りた時間の流れが、そこにありました。青空のもと、鳥の声を聴きながら、うっとりとして想像力を膨らませている自分がいたことを・・・
中津の現実は、せこせこして、ほんとに忙しい毎日。孫と遊んでやる時間も、ほんの少しです。もっと自然の中の驚異や香りや風を教えてやらねばいけませんね。
「このはな、ちれいやね。」
って、花を見て表現してくれるその姿や心に、とてもホッとする気持ちがあります。当たり前のことを当たり前に感じてくれることが、成長の証し。
コウキも生まれて3度目の春を迎えます。四季の移り変わりも、すっかり肌で感じていることでしょう。心身ともに健康で、新芽のごとく、むくむくと青く光り輝いて、成長を続けてほしいと願うばかりです。
❀春を待つ 子らのゆく先 花盛り❀