浩子の部屋

ルノワール回顧展

新緑の芽吹きの木立から、柔らかで暖かな日差しがこぼれてくるような、そんな繊細でいて透け感のあるルノワールの作品展。先日から、この開催を楽しみにして前売券を買っていたので、朝一番に主人と自転車で出かけました。目的地は、国立国際美術館です。行ってみると、すでに150〜200名くらいの人が、並んで出ておられました。皆さん、ルノワールの大ファンの方ばかりでしょうね。
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画家ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841〜1919)は、19世紀のフランス印象派の巨匠です。生涯に4000点もの作品を残していると云われています。モネと同時代を過ごしていて、「絵画は美しく楽しくなければいけない」という視点を持って描いている画家です。
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ルノアール展があるということは、大阪産経学園に貼ってあるポスターで知りました。ルノアールの作品を見るのはこれで2回目だと思います。どこかで何点かだけ観たことがあります。あまり記憶にないくらいです。
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入ってみると、作品は85点もありました。すごい数ですね。こんなにルノアールばかりを集めてあるとは、思ってもみませんでした。78歳の生涯で書かれた作品は、ほんとにすごい数なんですね。肖像画も多々ありました。今回の目玉は、ルノワールの傑作と云われる「可愛いイレーヌ」(1880)というイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢8歳の肖像画です。
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透き通る肌、見つめる目線には、まっすぐな心の視線が感じられます。青いガラス細工のように透き通った眼、それに青い水色の服、ウェーブした綺麗な長い髪の毛、顔を引き立てるための深緑の背景。まつ毛が長く、唇は生まれたてのような柔らかさ、それでいてキリッとした口元。垂らされた前髪が実にソフトであり、重ねられた柔らかい小さな手には、少女の戸惑いが秘められているようです。
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皆さんが、「わぁ〜、きれいやねぇ〜!!」と感嘆の声をあげて、ここでしばし立ち止まっておられました。「美しいものよ、永遠に!」という心が伝わって来るような感じです。いい絵画は、美味しい食事と一緒ですね。見て味わって楽しみ、満足感を得る、そして、発見がある。その発見は、絵やその描いた画家の心のみでなく、自分の中に何かを発見できる。そして、あの「美しさ」を永久に閉じ込めた画家と同じ気持ちになる。
「いいものは、何度見ても飽きないわね〜♪」
と、誰かが話されていました。その気持ちが大切。いいものは、人をうっとりと陶酔させる魔力がある。心を満足させ、幸せに浸してくれる。本物を見る醍醐味ですね。
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「アンリオ夫人」(1876)は、白い透明感のある肌と白いオーガンディーのショールの透け感、女性の肌の柔らかさを実に見事に描いてありました。
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日本のものが流行った時代に日本情緒を表現した「団扇を持つ若い女」(1879)。団扇、菊の花、格子という日本独自のものをフランス風にアレンジして溶け込むような・・・感覚。
今回の中で一番大きな作品の「ブージヴァルのダンス」(1883)は、まさに踊っているその一瞬を捉えたものでありながら、近寄って見ていると、音楽や後ろにいる人のおしゃべりまで聞こえてきそうです。自分がこのダンスパーティーの会場にいるかのごとく、錯覚するほどのリアリズムがありながら、正面・右側・左側と角度を変えてみると、その絵から感じられるものが違って見えます。
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右側から見ると、踊っている女性がほんとに満足げな感じで、この男性と楽しんでいる様子が感じられます。左側から見ると、男性がこの女性のことをとても気に入って、寄り添いたいという気持ちが溢れているが、女性は男性のことよりも踊ること自体が楽しいだけのようにも感じられます。正面から見ると、この2人以外の会場の風景や様子まで視えてくる感じです。
実物を見るというのは、写真やポスターと違うのは、やはり一つの絵を立体的に見れることでしょうね。表情や感情までも違って見えるのですから、ほんとに不思議です。いろんなことを感じて、メモっていたら・・・
「あの〜、すみません。それ、書いておられるのは、ボールペンですか?シャーペンですか?」
と、係の女性の方が来られました。
「あの、ボールペンですが、メモったらいけないんですか?」
「いえ、ボールペンはダメなので、これをお使いください。出口でお返しくださったらいいですから。」
と、差し出されたのは、使い捨てのメモ書き用ペンシルでした。
なんでボールペンはあかんねんやろう???
絵に落書きする人がいるから?鉛筆だったら、消せるからいいの?
まあ、どうでもいいけど、メモ書きできるのだったら、やれやれ・・・です。(ホッ)
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「勝利のビーナス」(1914)という素描は、女性の丸みを帯びた見事な体を線だけで描いてありました。その女性の体を包み込む「空気感」の描き方が素晴らしい!!ふわふわの柔らかい布団にもたれかかるように浮き沈みする空気が描かれています。この絵の横に書かれていた説明書きは、次のようでした。
※人体の輪郭線は、何度も描き重ねることで、太く力強い線となり、極端に下半身の豊かな特徴的なプロポーションが強調されている。背景は具体的な描写はされていないが、余白にぼかした着彩を施すことで、人体を包み込むような空気感が生まれている。※
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ルノワールは、仕立て屋の父とお針子の母のもとに生まれ、服や布地に対する目線が鋭いようですが、女性の肌をきれいに描くためにも、花の描写に力を入れていたようです。
※花を描くことは、ルノワールにとって、女性の肌の色合いや質感の表現を探求するための重要な機会であった。モデルを前にした緊張感から解放されたルノワールは、花を描くことを通して、より大胆に色彩的な実験を試みた。※
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ルノワールの絵には、すべてを通して「春」が感じられます。冬から目覚めた花々の開花のように、これからの人生において明るい透明な素晴らしい光が差してくるように、人々の心を開花させていきます。今、「ルノワール」という響きに・・・まろやかで、繊細で、愛溢れる真心を感じています。
<ルノワールの言葉>
「絵というものはぼくにとって、愛すべきもの、愉しくて美しいものでなければならないんだよ。」
ほのぼのと  春呼び起こす  ルノワール♪

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