昨年9月に初めて来られた30代男性の患者様が、今回3回目の検診に来られました。
「一年前とは大違いいやねぇ〜♪」
初めは、歯医者に行くのが怖くておっくうで、電話をやっとの思いで掛けてこられた方です。(超歯医者恐怖症)
たまたま、私が初めての電話を受け取り、
「怖くて行けないけれど、このままだとほんとに歯がボロボロになってしまう。
限界だと思うから、頑張って行きたいと思って電話しました。」
「では、予約を取りましょう。とりあえず、来れる日を決めないと、また気が変ってはいけないから・・・」
と、お話しました。
ご自分が現在心療内科にかかっておられ、
「恐らく、精神安定剤を飲まないと歯医者までたどりつけないと思う。」
と、おっしゃっていました。
「是非、お薬を飲んで、来てください。私がお待ちしています。絶対に、痛いようにはしないから、安心して来てくださいネ!」
とコメント。
最初に来られた時は、見事に奥歯は残根とムシ歯だらけ。
恐らく、食事もほとんど噛まずに食べておられたような感じでした。
でも、初日から覚悟を決めておられたようで、麻酔注射もされ、残っていた歯の根っこも抜かれました。初日とは思えないほど、治療が進みました。
それからは、ご自分も「ここに来る!!」ということの覚悟を決めているので、頑張りますとのこと。そして、面白いように治療も難なく乗り越えられ、
「どんどん噛めるようになるのが嬉しい。」
と、おっしゃるようになりました。約5か月かかりましたが、全て完治しました。
あと、無呼吸症候群があったため、マウスピースを作製。
今日は、そのマウスピースを調整に来られました。
「この1年で、ほんとに全てが良い方向にまわっています。自分でも、耳鼻科の疾患も積極的に治すようにしています。もう、心療内科のお薬は一切飲んでいませんし、体重も減らせてきたし、すべてが前向きに順調です。半年前に歯が全部できた時は、『噛む』ことが嬉しかったけど、今は、それよりも、自分の健康に向けて前に向かっていることがとても嬉しい。ほんとにここに来たおかげです。ほんとに心から感謝しています。」
と、帰り際に言っていただきました。
私たちも、患者様のその言葉が、ほんとに励みになり、それが嬉しくてみんなが仕事しています。励みの言葉をいただいてほんとうにありがとうございます。私たちにも勇気を与えていただき、感謝感謝。
「歯以外の悩み事でも何でも、つまづいたら、私のとこに来てネ!」
と言って、最後に握手!!
ひとり息子を家から見送る母の気持ち・・・です。
「年をとるのは、楽しいこと!!」
と、90歳になる或る女性作家がおっしゃっていました。
「若い時はわからなかったけれど、90歳になったら、こんなに腰が曲がって、足がこんなになって、普通に歩くことがこんなに大変なんだなぁと思いました。年はとってみないとわからないものネェ〜〜」
という言葉が私の脳裏に残っています。
老いの体を自分自身で楽しんでいくことが出来る・・・
そんな人になりたいですね。
江上浩子