毎月の保険請求事務を、医療業界では「レセプト」と呼びます。
1ヶ月にかかった歯科医療の処置内容と点数を合計して、1人につき1枚に表記します。それをまとめて、社会保険事務所や国民健康保険連合会に提出し、かかった医療費を2ヶ月後に振込してもらう仕組みです。レセプトは、毎月分を翌月の10日までに提出しなければなりません。レセプト事務で江上歯科を陰で支えてくださっている山?さんです。
山?さんは、25年前から、当院でずっと助手を手伝ったりしながら、レセプト事務に携わってきてくださいました。もともと、医療保険請求事務の会社で働いておられた経験があり、当院専属でお世話になることになったのです。
当時は、請求用紙の名前、保険者番号や記号番号を全て手書きし、内容もカルテを見ながら、処置内容の回数を用紙に書き込んでいました。
歯科は、歯の形や大きさが1本1本違っているように、内容も複雑で、手術の種類もいろいろあり、また、詰め物やかぶせの種類、入れ歯の種類など、本当に多岐にわたっています。その内容を全部理解したうえで、カルテから読み取っていかなければなりません。歯科の用語、また病名やその略称、それを覚えてこそできる仕事です。
開業当初は、私も何も知らなかったので、主人にいろいろと病名や内容を教えてもらいながら、夜な夜な遅くまでかかって、この作業をしていました。件数が結構多くて、月初めの1週間は、毎晩子供を寝させてから、これにかかりっきりでした。毎月のこの作業がなかったらお金が入って来ないので、やるしかありませんでしたが、当時は、もうヘトヘトで、いつも・・・「この作業さえなかったらいいのに」・・・と思っていました。
そんな折に、山?さんに来ていただいて頼めることになり、ほんとに楽になりました。私と主人で手分けしてやっていた夜なべ仕事を、全部委託出来るのですから、こんなにありがたいことはありませんでした。それから、十数年間、ずっと手書きでお願いしてきたのですが、保険請求もどんどん複雑化していきました。処方薬の名前や用量を明記したり、補綴物の維持管理期間が設けられ制約ができ、それらはどうしてもコンピューター化しないと無理な状況に追い込まれてきました。
平成9年から、レセコン(レセプト専用コンピューター)を導入しました。すると・・・
月初めにまとめてしてもらっていた作業を、今度は、毎日、患者さんの処置内容を入力しないといけない状態になりました。レセコン入力は、もちろん、私の専属の仕事になりました。それで、月初めにレーザープリンターで全部の枚数を打ち出し・・・それで終わりならばいいのですが・・・病名がダブっていないか、歯の部位入力が間違っていないか、処置回数があっているかどうか等を最終チェックする必要が出てきました。
山?さんにとっては、手書きの作業はほとんど無くなって楽になったのですが、そのチェックと集計の仕事だけを、ここ十数年してもらっています。他にも、受付の日計表の集計もお願いしています。
私としては、自分がしなければいけない仕事を、長きにわたってずいぶん助けていただき、本当にありがたいことだと今更ながらに思います。
コンピューター化されることにより、きちっと綿密なことはできるかもしれませんが、結局は人間の手作業入力が必要です。楽になるのは、お役所仕事であって、我々現場の者は、コンピューターに振り回されているのが現実です。最近では、領収書も病院と同じように点数入力したものをお渡ししないといけないですし、歯科疾患指導や口腔衛生指導の用紙も出さないといけないし、ほんとに煩雑化して、「てんてこ舞い」しているのが現状です。
スタッフもレセコン入力に慣れてくださっているので、今はスムーズに動いていますが、これもすべて、徐々に出来上がってきたものです。いろんなことをスタッフが役割分担することで成り立っています。
思い起こせば、開業当初はスタッフ2人でした。今は、ドクターを含めて常勤が8名、非常勤が5名、それに主人と私。いつのまにか、仕事も家庭も大所帯に。(笑)
ここに書き記しながら、今までたどってきた道を思い返し・・・「ああ、そうだったんだなあ」と、歴史を振り返るがごとく・・・になっています。
こうしてみると、「30年」って、結構長いもんですね。
忘れてしまっていくからこそ、記憶に残っている点と点だけが繋がっていくので、短く感じるんです。
山?さんも、江上歯科の変遷を、そばでずっと見て来てくださったひとり。
これからも、ずっと健康で、私達を支えてくださいね。感謝!!