「ヤシの木の○村です。ついにやってきましたぁ〜〜!!」
今日の夕刻6時半に江上歯科の窓口に現れたのは、「あのヤシの木が欲しい」と言って突撃交渉されてこられたおふたりです。
「やっと、引き取りに来ていただけましたか。待っておりました!!」
真新しいシャベル2本と、植え替え用の土まで用意してきておられました。
駐車場のカギを開けて・・・と。
「では、頑張ってくださいね。」
「僕ら、ヤシの木ドロボーと思われないですかね?」
「大丈夫、大丈夫。」
「なんか、『ヤシの木ドロボーではありません』と、書いて貼っておいて下さいよ。」
「白昼、こんなに堂々と盗む人はおりませんよ(笑)。しかも、こんなに人に見られるところで・・・診療所から丸見えやし・・・」
「そうですね。じゃあ、がんばりまっす!!」
待合室が混んでいた時間なので、私はすぐに仕事に戻りました。それから30分経った7時頃、まだ抜けた様子がありません。診療をしながら、窓越しにそれを眺めていた院長は、
「ふたりとも、根性あるわぁ。よう頑張るなあ〜。」
と、感心していました。
大変そうなのでお茶を差し入れに行ってみると、やっと、ヤシの木の周りの土をドーナツ状に掘っておられるところでした。
「どうですか?」
「わぁ〜!!これ、きついっすわぁ〜!!」
と、ふたりの感想。とっても苦戦しておられました。
「他の人が見たら、いったい何やってんねやろ〜〜?って、感じかな。」
ふたりとも汗だくです。かなり疲れておられる様子がうかがえます。
「かなり根が張って大変なようですね。もうひと頑張りして、深く周りを掘られたら、いけるんじゃないですか?」
かなり土は固く、3年前に植えた木は根もしっかりと大地をつかんでいるようです。
「もう少し掘って、頑張ってみます。」
それから、外は薄暗く・・・もう7時20分くらいになっていました。外を見てみると、なんと、助っ人が1人増えていました。
「もう一息ですか?」
「いやあ〜、なかなか動きそうで、動きません。真下の根がしっかりしているみたいです。」
「お手伝いに来てくださったんですか?」
「ええ、呼び出されまして・・・」
「そう、もうちょっとやのにねぇ。ヤシの木も動きたくないんやね。」
「ここで気持ちよく過ごしてきたから、離れたくないんかも??」
「そうやね。たくさんの人がここを通って、癒されてきたんやもんね。」
「そんな木をいただくんやから、大事にしますわ。」
「じゃあ、ちょっとヤシの木さんに、お礼言っとかないと・・・」
ヤシの木に向かって、声をかけました。
「今まで、いろいろとありがとうね♪ずっとここに居たい気持ちはわかるけど、いい人にもらってもらうんやから、そろそろ動いてあげてや。」
もうひと頑張り・・・と、根の中心をめがけて、シャベルで根切りを始められました。
「あっ、動いてる、動いてる。もう少しや。おう!!行け行け!!」
「わぁ、動いて来たぞ〜〜!!ほらこっちから倒すぞ〜!!ヨイショ、ヨイショ!!」
3人が力を合わせて、かなり傾いて動いてきました。
「もう少し、もう少し。ほら〜〜!!いくぞ〜〜〜!!」
「わぁ〜〜!!」
○村さんが、ヤシの木を抱いたまま倒れ込みました。
「やったぁ〜〜!!」
と、大きな歓声が湧きました。
「良かった、良かった。お疲れさんでしたぁ〜!!」
掘り始めてからここまで、まる1時間かかっていました。ほんまにご苦労さまでした。
ヤシの木の踏ん張りに、みんなが打ち勝ったのですね。今までの大変さも忘れて、全員ルンルン気分です。運転して持ち帰る○村さん以外は、ビールで乾杯です。それから、車に乗せて、ようやく完了です。
「では、お約束の分、8000円です。」
「あっ、どうも。領収書は要りますか?」
「じゃあ、記念にもらっておきましょうか。」
というわけで、受付の棟近さんに、「駐車場ヤシの木代金として」と書いてもらいました。
ヤシの木は、ワゴン車にそのままで乗せられて、帰って行きました。
なんとなく「心さみしい」気がします。ここに通る風が、ヤシの木の葉っぱをそよいでいたことが、それを見る皆さんに、自然の癒しの波を与えていたのですね。
無くして知るヤシの木の恩。
神戸の地で、しっかりと根付いてくださいね。また、会いにいきますよ〜〜♪
♡ ヤシの木は、“イヤシ”の木なり ♡
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