某歯科材料屋さんに営業担当として勤めていた田中さん。昨年の新築移転当初に、小型のレントゲン撮影機でお世話になって以来、長い間会っていませんでした。先月に突然当院にやって来られて、歯科材料屋さんを辞めて転職するという話を聞きました。思えば2年半くらい前の出会いでしたね。主人をしっかりつかまえて、自分の将来やりたいことは、こういうことだと熱く語っていました。
その当時、若いけれど一途な感じがし、エネルギーをどこに向かって注ぎ込んでいけばいいかをわからず、暗中模索しておられた様子でした。営業の傍ら、いろんなお話をして、広義で世の中とはこういうものだとか、自分の目標をしっかり見定めて、そのための今は準備段階にある「試練の時」と自覚することが大切だとお話してきました。
「1年半で辞めて、歯科医療の経営コンサルタントとして活躍していきたい。」
という、確実な目標があると聴き、この人は「ぶれない」人だなと直感しました。志がまっすぐである、それは彼の眼の中に見えました。コンサル業は、いろんな経験がものを云います。自分で開拓してぶつかって、いろんな経営者の経験を聴いて、データをしっかりと自分の頭の中に叩き込んでおく必要があります。
人の話を「聴く」時には、一生懸命その話を受け止めるだけの器がないとできません。彼は、回転が速いというか、即座に反応が返ってくることが、ほんとに素晴らしいと思いました。ただ、まだまだ経験が浅い分、頭を打つ点も多々あるだろうと感じました。でも、志をいつかは実現するんだという野望があり、自分に正直であるということが、今回就職された会社の社長もしくは人事担当の方の目に止まったということでしょうか?!
彼の就職先は、㈱関総研オフィスソリューションの経営支援事業部です。病医院の経営を様々な観点から支援していくというコンセプトだそうです。入社して1ヶ月が経ち、会社の方針がしっかりしていて、毎日、朝礼で前日の反省と次どうするかを一人ずつ発表するのだそうです。そんな中、自分と常に向き合う姿勢が自然にでき上がっていくのを見守っていくのだと、熱く熱く語ってくれました。
「水を得た魚」のごとく、ほんとに眼がキラキラと輝いて、「新入社員」という肩書きが表面化しているように見受けました。ただ、これからが本番ですから、自分に合った「水」を、上手に泳ぎきることが大切ですね。渦に飲み込まれないよう、自分の足元をしっかり見て、忍耐しながら頑張っていただきたいと思います。
五木寛之さんの「我、大河の一滴」という言葉が頭をよぎりました。川の流れの中にいつもいて、いずれは大海原に溶け込めるように、今は「一滴」のしずくであるかもしれませんが、オンリーワンの「一滴」になれるようにと願います。
大海原 竜宮城のみならず 波乱の世