食事の時よく噛むことはとてもいいことですが、食事以外の時に無意識に噛みしめていることがあります。つまりクチを閉じて奥歯を合わせることを指します。この無意識の噛みしめが、顔の筋肉のバランスをくずし老け顔・頭痛・肩こり・不眠・顎関節症などをひき起こします。
食事をする時には、噛む側の筋肉だけが増強されていくのですが「片側かみ」といって偏った筋肉の発達を促します。使っている側は顔の頬が引き上がるのですが、使っていない側は筋肉が衰え、たるんできます。ただ、食事をする時間は一日のうち短い時間ですので、割りと負荷が軽いのですが、食事以外の無意識の噛みしめは時間が長く、いわゆる持続的な筋肉への負担がかかり、必要以上の負荷がかかってしまいます。
『噛みしめは幸せだけにしとけ。顔がゆがむぞ!』
日常、何気なくしている「頬杖」も顔をのせているだけと思っていますが、作用反作用の法則のもと、手にのせた顔の重さの負荷が顎にかかってきます。顎をおして、顔をゆがませているのです。また、パソコンなどに向かっている時も、無意識のうちに姿勢が悪くなり、奥歯を噛みしめて舌まで緊張させてしまっています。
夜間の歯ぎしりでは、クルミを砕くぐらいの力(150kgぐらい)がかかり、歯に負担をかけるだけでなく顎がだるく疲れ、肩こりを生じます。この無意識という状態が、顔のバランスをくずし顔をゆがめ、しわ・たるみへと発展しているのです。
噛むことは非常に大切なことではありますが「過ぎたるは、なお及ばざるがごとし」で、噛みしめすぎると様々な症状が出てきます。これを「呑気症候群」といいます。下記のような方に起こりやすいようです。
- 上下の奥歯が接触していることが普通と考えている人
(クチをしっかり結びなさいと言われ、いつも注意している人)
- 習慣的に噛みしめる回数が多い人
(一生懸命何かをしている時などに歯をあわせている人)
- 姿勢によって上下の奥歯を接触させてしまう人
(例えばパソコンの仕事は少しうつむき加減になりますが、これは奥歯を合わせやすいのです)
- うつ気分の人
(うつ気分の時には、うつむき加減になり考えていると上下の奥歯が接触してしまいます)
- 不安や緊張を起こしているストレス状態にある人
(ストレスに対する構えがあると緊張して上下の奥歯を合わせてしまう)
このように、誰もがおこなう動作なのですが、上下の歯の接触すなわち「噛みしめ」動作の回数が多くなることがあります。
■噛みしめ・歯ぎしりを直す方法
- 割り箸を割って1本に
- あお向けに寝て、軽くヒザを曲げる
- 軽くクチをあけ、くちびるの上に割り箸をのせる(噛まない)
- 歯と歯の間に2〜3mmほどの隙間ができる
(この隙間が筋肉をリラックスさせます)
- これを1日30分、寝る前にしてみてください。
(肩こりや呑気症も軽減)
■顔の筋肉をほぐすストレッチ
- 頬の真ん中のへこむところ(おさえると少し痛い)が、側頭筋と咬筋を一度に刺激できるポイントです。
- 1の部分を親指で押さえ、他の指アタマの後ろへおきます。
- 親指で筋肉をもちあげるようにする
- そのまま「あいうえお」と大きくゆっくり口を開けて発声します。声を出す
- 時に手の形は変えないように(痛みが激しい時はしないでください)
■顔の筋肉を鍛えるストレッチ
- あごの骨の内側(首側)に親指をかける
- 他の指で頬骨を押さえ固定する
- このままの状態で口を縦に開け閉めする
- さらに口を横にも動かしたりして、普段噛んでいない方向を重点的に行ってください。(無理をしない程度に)
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