先進国の中でも歯並びの悪い人が多いといわれるわが国。それでも、近年は子供の歯並びを気にする親が増え、歯列矯正にも関心が高まっています。歯並びはみた目ばかりでなく、健康にも少なからぬ影響を及ぼすといいます
歯並びの悪さによる心と体への影響
- 精神:口元に自信がないと性格にも影響する
- 歯:虫歯や歯周病にかかりやすくなる
- 発音:発音に障害が起こる
- 全身:原因不明のイライラや体調不良が起こる
- 顎:子どもに増えている顎関節症
- 消化器官:胃腸への負担が大きくなる
● 風邪も引きやすく
歯並びが悪いと、歯磨きが難しくなり虫歯や歯周病になりやすい、食べ物が噛みにくく、顎関節症などの問題が生じやすくなります。同症は「口を大きく開けたとき耳のそばでカクカクと音がする」「口を大きく開けられない」「顎の関節や周辺に痛みがある」などの症状が出る病気で、歯並びの悪さからくる不正咬合が原因の一つと考えられています。
また、かみ合わせが悪いと顎の関節に無理な力がかかり、体の他の部分にも異常が現れます。子どものあごの成長を妨げ、上下のあごのバランスが悪くなったり、顔がゆがむ原因になることもあります。長じてくると、歯並びの悪さを気にして人前で笑わなくなる子もいるというから深刻です。
さらに、かみ合わせの悪さから、口をきちんと閉じることができない場合、風邪を引きやすく、呼吸器系の病気にもかかりやすくなることが指摘されています。
◎ 乳歯からの検診・矯正を
●乳歯の虫歯が一因
子どもの歯並びが悪くなる原因は、大きく分けると、歯そのものがガタガタに生える「乱ぐい歯」とあごの骨格の異常によるかみ合わせの悪さがあります。さらに後天的な要因として、指しゃぶりや爪かみ、歯を舌で押す癖が影響を与える場合も。乱ぐい歯はあごの大きさと歯の大きさがアンバランスな場合に起こりますがが「乳歯時期の虫歯も一因となる」といわれます。乳歯が虫歯になることで、永久歯の生える場所が狭くなり、乱ぐい歯となりやすくなります。予防は親が子どもの口の中を常に観察し、定期的な歯科検診による虫歯の早期発見しかありません。
● 矯正方法さまざま
それでは、歯並びが悪かった場合、どのようにすればよいのでしょう。歯列矯正の必要は個人のケース・バイ・ケースですが、早期の治療を勧めています。乳歯から永久歯に生え替わる時期に診察を受け、ちょっと乳歯を削るなどの手を加えるだけできれいな永久歯の並びになることもあります。歯列矯正も、近年はさまざまな治療法が導入されています。治療期間は個人差があり、全体を矯正する場合は二年以上もかかることも珍しくありません。こうしたことから、矯正装置を付ける時期は部活動や受験などで忙しくなる中高生よりも小学生の方が望ましいとされるが、親子で歯並びの大事さを話し合い、子どもが納得してからの治療が大事です。また、かかりつけの小児歯科医を持つことも勧めます。親が歯磨きや間食について指導を受けることで、子どもが虫歯にかかる恐れがぐんと減り、歯並びに影響を与える悪癖も発見しやすい。定期的な検診で正常な歯の状態を保ちましょう。
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