歯周病は、歯のまわりの骨が溶けてしまう病気です。はじめは、歯ぐきから膿が出たり、かんだ時の違和感があります。そのうち、歯がぐらぐらになり、自然に抜け落ちてしまうこともあります。中年以降で歯のなくなる最大の原因は歯周病といわれているほど、じつは大きな問題なのです。
歯周病は「沈黙の病」とも呼ばれ、症状が表面化しないので、自分自身でその存在に気づかないことが多いといわれています。しかし、よく観察すれば、その徴候をとらえることができます。歯周病は歯肉炎と歯周炎に大別されます。歯肉炎は炎症がまだ歯肉だけに限られているもので、歯周炎は歯肉だけでなく歯槽骨(しそうこつ)などほかの歯周組織(歯を支える組織)まで炎症が進んだものです。この2つを見極める歯科医の診断ポイントは、歯槽骨が溶けているかどうかになりますが、X線写真で確認する必要があり、自分ではなかなかわかりません。とくに歯肉炎のうちはごく軽い症状なので、自分が歯周病だと自覚しにくいかもしれません。
−歯周病の進行−
1.歯肉炎
プラークが増えるとその中の細菌が出す酵素や毒素で歯肉に炎症が起こり、赤くはれたり出血したりします。まだ骨の溶け出しはありません。正しいブラッシングで治ります。
2.軽度歯周炎
プラークや歯石がたまってきます。歯肉炎よりさらに歯肉がはれ、血や膿がでることがあります。歯槽骨が溶け始め、歯がわずかに揺れることもあります。しかしまだブラッシングとスケーリング(歯石除去)で改善が可能です。
3.中等度歯周炎
炎症は歯肉の奥深くに進み、歯槽骨がさらに溶け出し、歯根の長さの1/3〜2/3がなくなり、歯が前後と左右に揺れます。ブラッシングとスケーリングのほか、場合によっては外科手術が必要です。
4.重度歯周炎
歯槽骨は歯根の長さの2/3以上が溶け出します。歯が前後と左右の両方向にグラグラ揺れ、上下方向にも動くので、簡単に抜けてしまうことがあります。ここまでくると歯を残すことは困難なので、適切な抜歯や義歯などの治療が必要です。
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