2006年3月号
神経をとると歯の寿命は?
歯冠部(歯ぐきから出ている歯の部分)を作っているエナメル質と象牙質は歯髄
(→神経線維・毛細血管・結合組織からなる。通常、患者さんには分かりやすく「神経」と呼ぶことが多いです)から栄養をもらっています。
そして原則的に神経を取り除く処置を施した歯は被せることになります。もちろん残っている歯の分量の多いときには、部分的につめることもありえます。
ただ、修復しても神経をとった歯は栄養素が断たれていますので、すぐにではありませんが年数がたつに従って徐々にもろくなっていきますので、修復後の歯の破折といったリスクをまねきます。また、神経は歯の中でさまざまな形をしているので、すべて除去するという処置には限りがあります。それゆえ、神経をとった歯がその後トラブルを生ずるといったリスクも皆無ではありません。
有髄歯(健全歯)に比べ、無髄歯(神経をとった歯)の寿命が短くなるのはそういった理由によるものです。だから我々歯科医は深く進行したむし歯でもなんとか神経を残そうと、懸命に努力するわけです。早期発見・早期治療の大切さはもちろんですが、日ごろからの予防・定期検診が何より重要ですので、ぜひお気軽に担当歯科医師にご相談ください。