2007年7月号

金属アレルギー

金属アレルギー

アレルギーといえば、みなさんは薬物アレルギーや食物アレルギーを思い浮かべるのではないでしょうか。

薬物や食物のアレルギーに比べると、非常にまれにしか発現しませんが、いろいろな金属でアレルギー性皮膚炎が起こることがあります。これを金属アレルギーといいます。

頑固な湿疹・かぶれ・吹き出物や不眠は金属アレルギーが原因で起こる場合があります。

ピアス・ネックレス・指輪等は着けているその場所にアレルギー反応が出ますが、口の中の金属は唾液で金属イオンが溶出し全身にまわるため、身体のどこにアレルギー反応が出るかわかりません。

歯科の治療では、むし歯や歯の欠けた部分の修復に金や銀、パラジウムをはじめ、さまざまな種類の金属を使用していることはご存知のとおりです。

現在、歯科においては20種類以上の金属元素が、合金、その他の形で用途に応じて使用されています。これらは数十年前から現在に至るまで、歯科治療において絶大な効果をあげてきました。金属を使用せずに歯科治療を行うことは考えられないほど、歯科材料の中で金属は重要な役割を占めています。

ただ、口腔内は金属にとって非常に過酷な環境であるため、多くの合金は目に見えない形で微量の金属成分が溶出しています。溶出した金属成分が生体内に取り込まれ、生体内のタンパク質と結合すると、本来生体がもっていない化学物質ができます。生体はこれを異物とみなして、アレルギーが起こることがあるのです。

日常生活においても、いろいろな金属が、アクセサリー(ピアス、ネックレスなど)や腕時計、皮革製品、鍋などの台所用品や食器に使用されているために、金属アレルギーの原因が歯科治療で使用した金属であるかどうかは、原因金属を特定するパッチテストを行わなければなりません。金属アレルギーが疑わしい場合は、診断に際し皮膚科の協力を得て共同で治療に当たります。

セラミックとプラスチック

近年では、セラミックスやプラスチックなど、金属以外の材料を使ってむし歯や歯の欠けた部分の修復が可能になったため、パッチテストの結果、歯科用金属にアレルギーがあっても安心して治療を受けることができます。

詰め物や冠などをハイブリッドエステニアにされる方が最近増えています。