2015年3月号

舌の癖 ―こんな舌には要注意―

舌の癖
奥歯の歯の上に物を乗せたり、噛み切る位置へ食物を運んだりするのは、舌や唇の仕事です。
舌は一かたまりに見えますが、多くの筋肉で構成されていて、上下前後左右によく動きます。その表面は粘膜なのでデリケートで微妙な舌触りや味がわかる鋭い感覚があります。舌の使い方と歯並びには大いに関係があります。歯が生えてくるとき、舌と唇・頬の粘膜との間に伸びてきます。つまり、舌の周囲に歯が生えてくるのです。しっかりと回数を多く噛むことは、舌の動きを介して、歯を適切な位置に並べるために必要なのです。

逆に舌が出すぎたり、口をぽかんとあけていたり、指や歯ブラシで引っ張ったりすると、すき間だらけの歯並びや前歯が飛び出して上下で調和しないかみ合わせになってしまいます。大人になっても歯は動きます。歯が傾くと、歯が揺れて抜ける重症の歯周病(歯槽膿漏)にかかりやすくなります。

一度、唾を飲み込んで舌の位置を確認してみましょう。舌を前に押し出して前歯を裏から押していませんか。 しゃべるときに舌がチョロチョロ見えるのも、前に出すぎです。舌で歯を前へ押す癖では、まず舌の周囲に歯の型がでこぼことつきます。歯が前方に飛び出すと、このでこぼこはなくなりますが、舌は口の底でだらっと緩んで大きくなり、口は閉じにくくなります。

下の歯並びの中央に位置する舌は「低位舌」と呼ばれ、年を取ったときに、食べることや話すことにトラブルが起こりやすくなります。さらに、口の汚れが肺炎の原因になることもあります。