2017年12月号
歯を治療しても痛みが治まらない!
《非歯原性歯痛とは》
多くの場合、歯の痛みの原因は、むし歯や歯の中神経、あるいは歯肉をはじめとした歯を支える組織にあります。これらが原因の症状を「歯原性歯痛」と呼び、歯科での治療により治まるのが一般的です。
しかし中には、歯や歯の周り、歯肉などに痛みを感じるものの、歯科での診療やX線検査などを行っても異常が見つからない場合もあります。このように「歯に原因がない」にもかかわらず、痛みが出ている症状を「非歯原性歯痛」といいます。
この場合、歯科治療を受けても痛みが解消されないので、歯科医院を転々とするケースや心身に大きなダメージを受けてしまう人も少なくありません。
痛みの原因は「歯」以外にあるかも・・・
●咀嚼筋の痛みによる歯痛
歯を噛みしめるクセや強いストレスなど、頭や首の筋肉の緊張状態が長く続くことで症状が出ます。とくに、下あごのエラの部分から頬骨にかけての筋が原因で、下の奥歯に痛みを感じることが多くあります。また、こめかみから下あごのつけ根あたりにある筋により、上の奥歯に痛みを感じることもあります。
●神経障害性の歯痛
末梢から中枢の神経に何らかの不調が生じる神経痛の一種です。
三叉神経痛による歯痛
顔の感覚を司る三叉神経に、激しい痛みが繰り返し起こります。その痛みが歯に広がったり、歯に触ったことで発作が起きたりすることがあります。
帯状疱疹による歯痛
水ぼうそうの原因でもある、水痘・帯状疱疹ウイルスが活性化し、神経の炎症を引き起こす疾患です。
外傷性有痛性三叉神経ニューロパチー
外傷、歯の神経の除去、外科手術時の神経の損傷などが原因で、ジリジリした痛みが続きます。
●神経血管性の歯痛
頭の片側だけが発作的に痛む「片頭痛」、一日に何度も目の奥が激しく痛む「群発頭痛」は、歯髄の痛みとも似ていることがあり、歯の痛みと誤解しがちです。多くの場合、上あごの奥歯が痛みます。
●精神面に原因がある身体症状としての歯痛
うつ病といった精神的な不調も、歯の痛みを引き起こす場合があります。また、「身体表現性障害」による症状の場合もあります。これは、体が異常がないにもかかわらず、精神的な要因で痛みなどの不調が出る病気です。
いずれのケースも専門医の診療を受け、原因をつきとめることが重要です。