2006年6月号
正しく噛む習慣をつける
顎の間接がおかしい、口を大きく開けると痛い、顎がカタカタ鳴る、顎が痛くてあくびができない、首や肩のコリ、耳の調子の悪さ・・・。これらは、顎関節症の特徴的な症状です。
頭痛や腹痛の原因がさまざまなように、顎関節症の原因もさまざまです。たとえば、
- 顎の使い方が悪いとか、虫歯や歯槽膿漏により、左右でしっかり噛めない
- 歯並びや上下の歯の噛み合わせが悪い
- 歯ぎしりや硬いものばかり食べることによる筋肉疲労
- 生まれつき関節の形に問題がある
- 耳鼻科領域の疾患
- 事故や打撲
また、ストレスや体の不調などが影響していることもあるようですが、はっきり解明されていない部分もあります。
治療法は原因によって異なるので、精密検査が必要です。
治療法には、
- 噛み合わせの調節
- スプリント装置を口に入れる
- 薬物投与(鎮痛剤や筋弛緩剤)
- 理学療法(湿布や電気刺激など)
などがあり、心身医学的な治療が必要になることもあります。
顎関節症は慢性の疾患ですから、治療は即効的なものではなく、治療期間が長引くことが多いので、あせらず根気よく治療することが大切です。
顎関節症と勘違いする慢性関節リウマチや耳下腺炎、三叉神経痛など、紛らわしい病気もありますから、自己判断は禁物です。
十数年前から十代の子どもは欧米に比べ顎関節症が少なかったのですが、年々増加の傾向にあります。軟らかいものを好んで食べることが、顎の筋肉を弱くしているのではないかと推測されています。
小さいときからしっかり噛む習慣をつけることが、顎関節症の予防にもなります。テレビを見ながら正面を向かずに食べたり、唇を閉じないで行儀悪く食べることは、悪い噛み合わせをつくる原因になります。