2024年5月号

口の中のできものは口内炎?

口内炎
口内炎になった経験がある人は多いはず。ですが、口内炎が歯科で治療できることはあまり知られていません。
歯科はむし歯や歯周病を見てもらう、というイメージが強いと思いますが、頬の内側や舌、唇などの口の中の粘膜の疾患も歯科の領域です。口内炎の原因は、一般には「ビタミンB不足」「ストレス」「睡眠不足」「胃の不調」といわれていますが、実際のところはよく分かっていません。原因不明のものが多いです。
一口に口内炎といっても、見た目で分類すると、アフタ性、カタル性、潰瘍性など、原因で分類すると細菌性、真菌性、ウイルス性、アレルギー性などに分けられます。通常よく見られるのは「アフタ性口内炎」と呼ばれる潰瘍を伴うものです。これは軽いものであれば1週間前後で自然治癒することが多いです。通常のアフタ性口内炎は1〜2週間で自然治癒しますから、アフタ性口内炎そのものは放っておいても問題はありません。ただし、唾液の分泌低下が進むと、口の中の殺菌作用が弱まることで、口の中がネバネバしたり、口臭がきつくなったりといった症状が現れてくる危険性があります。そういった症状をさらに放っておくと、歯周病や口内炎、虫歯といったさまざまなトラブルが起こりやすくなるので注意が必要です。
歯や食べ物に当たって痛みが出るとき(接触痛)は、対症療法としてステロイドや軟膏などが有効ですが、あくまでも痛みを和らげるのみで潰瘍の治癒を促進させるわけではありません。アフタ性口内炎ではない口内炎や、見た目はアフタ性口内炎に似ているけれど違う疾患の場合、逆効果になることがあります。例えば、入れ歯が当たってできる傷はかえって治癒が遅れます。カンジタ症では症状が悪化します。症状が悪化するということがなくても、薬局で購入した口内炎の軟膏を塗って、治る見込みがなければアフタ性口内炎ではない可能性が高いです。現に、歯科や口腔外科を受診したら口腔がんだったという例もあります。
含嗽剤うがい では、どうすればいいかというと、まずは患部を清潔な状態にするために含嗽剤うがいをするといいでしょう。含嗽剤とはうがい薬のことです。それによって治りも若干早くなります。食後の歯磨き後や寝る前など、1日4〜6回もすればいいでしょう。その上で、「この口内炎、1週間くらい経ったけど治らないな」と思ったら、かかりつけの歯科医院を受診してください。