2025年9月号

歯間フロスの効果

歯間フロスの写真 口腔内で繁殖した疾患の原因菌は、飲み込むことで悪影響を及ぼします。
歯周病をはじめ、糖尿病や誤嚥性肺炎などの疾患、また、心臓病を作る腸内環境にも大きく関わっているのです。

歯周病などの疾患リスクを減らし、口腔内を清潔に保つために役立つのが、「歯間フロス」です。歯間フロスは、細い繊維を束ねた糸のような清掃用具で、歯ブラシでは届きにくい歯と歯のすき間に入り込み、歯垢や食べカスをしっかりかき出してくれます。
驚くことに、歯間フロスの使用が脳梗塞のリスク低下にもつながることが、アメリカ・サウスカロライナ大学医学部の研究によって明らかにされています。この研究では、25年間にわたって脳梗塞の既往歴がない2,688人を追跡調査。その結果、1,294 人が脳梗塞を発症しましたが、週に1回以上歯間フロスを使っていた人は、そうでない人に比べて脳梗塞のリスクが22%も低いことがわかりました。
さらに、歯間フロスの使用者は口臭の予防や歯周病の改善効果も報告されており、週1回以上の使用でも明らかに良い影響が見られることが示されています。特に「使わない人」と比べると、歯周病の改善においては44%もリスクが低下したという報告もあります。
日々のケアはつい「歯みがきだけでいいや」と思いがちですが、実は歯の健康は「歯と歯の間」がカギ です。口臭が気になる方や、最近歯ぐきの腫れや出血がある方、また健康寿命を意識している方は、ぜひ今日からでも歯間フロスを習慣にしてみてはいかがでしょうか。