2003年9月号
歯周病と全身とのかかわり~血管障害を引き起こすことも~
案外怖いのです
「歯周炎?ああ、リンゴをかじると血が出るやつね?」
と軽く考えていませんか?
確かに、初期の頃は痛みもありませんので、それほど気にならないかもしれません。しかし、歯周病は進行すると歯が抜け落ちるだけではなく、全身にさまざまな悪影響を与えます。例えば歯周炎の原因菌が毛細血管から全身の血管に入ると、頭痛・倦怠感などの全身の不調を引き起こすほか、心筋梗塞・狭心症・脳血栓・脳梗塞など命にかかわる重大な病気の発症にも関係しています。心筋梗塞で亡くなった方の血液内の血栓を調べると、そこから歯周炎菌が発見されたという報告が、数多く寄せられています。
女性も気をつけて!
歯周炎菌の一部は悪玉コレステロールを血管壁に付着させる可能性があり、このため血栓を作り動脈硬化を進行させるそうです。当然、この血栓と動脈硬化が心筋梗塞などの重大な病気につながるわけです。
これは女性の健康と出産にも大きな影響を与えます。
月経時や妊娠期にさかんに分泌されるエストロゲンという女性ホルモンがありますが、歯周炎菌はこのエストロゲンを栄養にして体内で増えつづけ、悪さを働きます。とくに歯周炎の女性が妊娠すると、歯ぐきの健康な人に比べて未熟児出産や早産を起こす確率が非常に高まると言われています。
歯周炎を予防するために・・・
- 就寝前の歯みがき・・ゆっくりと丁寧に時間をかけて歯の清掃と歯茎のマッサージを!
- 朝起きてすぐの歯みがき・・夜寝ている間に増殖した菌を一掃する!
- 新陳代謝を活発にするよう1日に2リットル以上の水(緑茶・麦茶ではなく真水)を飲むこと!特に朝はコップ2杯、風呂上りや就寝前にもコップ2杯程度の水を摂るようにしましょう!
以上を実行していただくと、歯周炎の予防のみならず風邪等の予防にもなります。お口の健康は全身の健康につながります!