2007年3月号

睡眠時の顎の位置と睡眠時無呼吸症候群

顎、舌自身の重さで舌が下がり、気道が狭くなっている。

皆さんは「噛み合わせと睡眠」について考えたことはありますか?
普段リラックスして横になっている時は、唇が軽く接する状態で、上下の歯の間に少し隙間があります。しかし、仰向けになって軽く開いている場合は、顎の全体、そして舌自身の重さで下がってしまいます。
では下がってしまうとどうなるかといえば、大事な気道、つまり空気の通り道をせまくしてしまいます。それが一番反映されるのがいびきです。いびきがあると鼻が悪いとよくいわれますが、実際にはそれだけではなく、寝ている間に舌が下がってきて空気の通り道が狭くなっていることが原因である場合が多いのです。それが重症になると、睡眠時に呼吸が停止する睡眠時無呼吸症候群につながります。

日本では、2003年に運転手の睡眠時無呼吸症候群により新幹線がオーバーランした事件以来、マスコミが取り上げられるようになって脚光を浴びたのですが、アメリカではすでに1980年後半から数々の事件を引き起こす原因であると注目されていました。
睡眠時無呼吸症候群というのは、実は下の顎が後退することで起こりやすいと考えられています。これは単に空気が通らないということだけでなく、頭に血液がいきわたらず、起きていても1日中睡魔におそわれ、記憶力が悪くなり、糖尿病の人には、場合によって悪化したり血圧が高くなる場合もあります。同じように寝ていても、身体を休めるための睡眠ではなく、休めない状態の睡眠となり、結果は非常に心身ともに疲労してしまいます。

このようなとき、医科では

  • 喉付近の余分な脂肪を取る
  • 体重を減らす
  • 直接鼻から空気を送り込む(酸素不足を補う)

歯科では

  • マウスガードに似た装置をはめる

この装置によって寝ている間に顎が下がる、舌が下がることを防止することができ、その結果空気の通り道が確保できるのです。いびきも、ほとんど気にならない状態にすることが可能になってきています。