2012年11月号
睡眠時ブラキシズム
「朝起きると、顎の周辺がだるい」「寝ているときに歯ぎしりしていると言われた」などという経験はありませんか?
睡眠中、無意識に歯をかみしめたり、歯ぎしりをしたりするのは「睡眠時ブラキシズム(口腔内悪習慣)」と呼ばれています。
一般的に、日本人は8~15%が歯ぎしりをしていると言われ、年齢を問わず子供から老人まで幅広く見られます。
通常であれば、奥歯にかかる力は最大で自分の体重程度ですが、睡眠時など、無意識下においては“これ以上噛むと歯が壊れてしまう”という抑制ができず、結果として通常以上の力が加わることがあります。
放置していると、歯が削れたり、折れたり、割れたり、歯周病悪化の原因になることもあります。また、治療後の差し歯の破損や、詰め物が脱落することもありますので、注意が必要です。
特に、近年人気の高いセラミックスを用いた歯は、天然歯や金属に比べてもろいので、よりいっそう注意が必要です。
歯ぎしりの原因ははっきりとはしていませんが、睡眠が浅いときに起こりやすいことが分かっています。ストレスが多い場合や、飲酒後などは熟睡しにくいため、歯ぎしりをしやすくなります。また、喫煙や遺伝なども原因の一つとして指摘されています。睡眠時無呼吸症候群でも、無呼吸状態の時に高い頻度で歯ぎしりが起こることが報告されています。
では、どうすれば歯を守れるでしょうか?
ストレスを抑え、生活習慣を見直すことで睡眠が安定し、予防できる可能性があります。しかし、それでも治らない場合は、睡眠時にマウスピース(スプリント)を装着するという方法があります。
歯科で樹脂製の歯科用マウスピースを作製できますので、ご相談ください。
長期的にマウスピースを使用すると効果が薄れることがありますが、歯を擦り合わせることで起こる摩耗を防いだり、歯にかかる力を分散させて歯の負担を軽減ことは可能です。
マウスピースは数ヶ月に1回のメンテナンスが必要ですが、健康保険が適用されますのでご安心ください。また、痛みも少なく安全な治療方法です。
朝起きた時、「顎が疲れている、または、痛い」「顎の関節が引っかかる」「歯が削れている」といった症状のある人や、一緒に寝ている人に歯ぎしりを指摘されたという人は、一度ご相談ください。