2017年4月号

生活習慣からみた歯周病予防

前回、歯周病はプラーク中の細菌によって引き起こされる感染病であることをお話しました。
しかし、歯周病の原因となる細菌は、歯垢が歯に付着した途端に歯垢の中で増えて、病原性を発揮するわけではありません。
歯垢が形成されて、その歯垢が歯肉溝の中に付いたまま数日間経過することによって、歯周病の原因となる細菌が増えてくるのです。
ですから、毎日しっかりとプラークを除去することの習慣付け、プラークコントロールの習慣化が大切になってきます。
これは、歯周病だけではなく、むし歯予防のためにも重要な習慣です。
また、歯周病予防のためのプラークコントロールの習慣化は、生活習慣病予防のために、わたしたちが規則正しい生活習慣や食習慣、運動習慣などを身につけるために行動変容を起こすのと同じカテゴリーにあるといわれています。
ということは、歯周病は感染症であると同時に、生活習慣病という一面を持っていることになります。

生活習慣とお口の健康状態のセルフチェック
皆さんには、生活習慣からみた歯周病およびむし歯の危険度をチェックしていただこうと思います。
表の「セルフチェックシート1 生活習慣状況」の①から⑩の質問項目で、当てはまる項目に◯をつけてください。これらのチェック項目には、次のような意味があります。

①規則正しい生活をしている
むし歯や歯周病は、生活習慣と大きく関係しています。
しっかりよく噛んで、きちんと食事をとることが、お口の健康につながります。

②間食をあまりしない
むし歯予防には、甘いお菓子や飲み物をとりすぎないことが不可欠です。
間食の回数が多ければ多いほど、むし歯ができやすい環境になります。

③ストレスをうまく解消している
過度のストレスは歯肉や顎の関節にも影響を与えます。
常に大きなストレスを受けていると、歯周病や顎関節症になってしまうことがあります。

④糖尿病や高血圧ではない
糖尿病で歯周病が悪化することがあります。
また、高血圧の治療のための薬には、歯肉が盛り上がる、唾液分泌が少なくなるなどの副作用を持つものがあります。

⑤たばこを吸わない
喫煙は、歯にタールなのど汚れが付いたり、口臭の原因となるだけではなく、タバコに含まれる成分が歯肉の血流を悪くし、歯周病を悪化させます。

⑥深酒をしていない
お酒が直接歯・口の病気につながるわけではありません。
しかし、晩酌後に歯磨きが面倒でいい加減になったりすると、お口に中に悪影響を及ぼすことがあります。

⑦週に1回以上、口の中を観察している
磨き残しのチェックをしましょう。
また、年齢とともにお口の中も変化していきます。
自分の歯肉や歯と歯の間などを週1回観察することは、お口の健康に役立ちます。

⑧1日1回は時間をかけて歯磨きをしている
少なくとも1日1回は、歯ブラシだけではなく歯間ブラシやフロスなどを使って充分時間をかけて(10分程度)歯磨きをしてください。

⑨フッ素いりの歯磨き剤を使っている
フッ素は歯を強くし、むし歯を予防します。
歯周病などで歯肉が下がって露出してきた歯の根の部分の虫歯の予防にも役立ちます。

⑩歯磨きの指導を定期的に受けている
お口の健康のためには、自分できちんと健康管理をすることが大切です。
自分に合った歯磨きの方法を身につけましょう。

さて、みなさんは何項目に◯が付きましたか? 判定してみましょう。
全部のチェック項目に◯が付くことが望まれます。

◯の数が10~8個の人は、これからも良い生活習慣で過ごしましょう。
7~5個の人は、1つでも◯が増えるように頑張りましょう。
4個以下の人は、生活習慣を見直して下さい。そして、1つでも◯が増えるように努力しましょう。

次に、「セルフチェックシート2 お口の健康状態」で、お口のチェックをしてください。
歯肉の観察のポイントは前号を参考にしてください。
全ての項目に◯が付かなかったら、お口の中に何か問題がありますので、かかりつけ歯科医など専門家にお口の中の健康状態をチェックしてもらい、歯磨きの指導も受けましょう。

これらのセルフチェックシートは1回だけではなく、定期的に実施して生活習慣とお口の健康状態を確認してください。