歯の豆知識

2018年9月号

妊娠中の歯科治療

歯周病が出産に及ぼす影響
妊娠中は女性ホルモンの変化により歯肉が炎症しやすくなったり、つわりなどの影響で歯磨きが十分にできないこともあり、お口の中が不衛生になりがちです。もともと歯肉炎や歯周病があった場合は悪化するリスクが高まります。歯周病は早産や低体重児を出産する確率が高くなると報告されています。つわりで歯ブラシを口に入れられないといった場合は、食後のうがいだけでも効果的です。できる限りお口の中を清潔に保つことを心がけましょう。

つわりがキツイ・・・ 歯ブラシを口に入れると気持ち悪くなる・ そんな時は・ 食後にうがいをするだけでも効果があります

出産後に注意してください 母子感染
むし歯や歯周病は「感染(うつる)」する病気です。そして感染経路で最も多いとされるのが「親から子へ」の感染です。 実は、生まれたての赤ちゃんはミュータンス菌(むし歯菌)に感染していません。 様々な外的な要因によって感染していくのですが、中でもママが赤ちゃんに食事を与える時、噛んで柔らかくしたり、自分が使っている箸やスプーンで食べさせたり、といった行為によって感染してしまうことを“母子感染”といいます。 特に生後1才7ヶ月から2才7ヶ月の一年間が感染の危険性が高いとされます。この時期は「感染の窓」と呼ばれ、最も注意が必要とされています。 しかし、感染を気にしすぎて親子のスキンシップを控えるというのは避けたいものです。母親をはじめとするまわりの大人が正しい知識を持ち、大人の口腔衛生が子供の口腔衛生につながることを理解しましょう。

感染の窓→歯が生える→上下の前歯が生え揃う→奥歯が生える→乳歯が生え揃う
離乳食開始→断乳→完了→幼児食へ

妊娠中の歯科治療
〜安心して受診していただくために〜
妊娠中でも歯科治療は可能です。特に妊娠中期(5ヶ月〜8ヶ月)は心配なく治療を行える時期です。むし歯、歯肉炎、歯周病などこの時期に治療し、分娩までに治療を済ませておくことをお勧めします。出産後は育児や家事におわれ、受診する時間が取れず症状が悪化してしまうこともあります。

妊娠初期
妊娠初期は、切迫流産が起こりやすい時期になります。治療は応急処置にした方が安心です。安定期までお待ちください。

妊娠中期
安定期のこの時期は、ほとんどの歯科治療が行えます。 しっかり治療して出産に備えましょう。

妊娠後期
臨月に入ると急なお産で治療が中断することもあります。治療は応急処置程度にし、産後に受診してください。

妊娠中の歯科治療で気になること
妊娠中のX線撮影・麻酔・薬は妊婦さんにとって特に気になることだと思います。 しかし、気にしすぎてしっかりした治療が行えないと、症状を悪化させ腫れや痛みがでたりすることも。気になることはお気軽にお尋ねください。

○ X線撮影(レントゲン)
的確な診断と治療にはX線撮影から得られる情報は重要です。歯科のX線撮影は首から上の部分だけですので、お腹の赤ちゃんへの影響は気にしなくても大丈夫です。X線用の防護エプロンを着用すればさらに安心です。

○ 麻酔
歯の治療をするときに用いるのは局所麻酔なので、通常の使用量であれば赤ちゃんへの影響は心配しなくて大丈夫。 痛みに耐えて治療を受けるストレスの影響のほうが心配です。

△ 薬
妊娠中の方への投薬はできる限り控えますが、腫れや炎症を悪化させ投薬の量が増えることになっても困ります。どうしても薬が必要な場合は、妊娠中であっても比較的安全な薬を必要最小限処方します。

その他に・・・
治療のときの仰向けの姿勢が苦しい、つわりで気分が悪い場合などは体調に合わせた治療をしますのでお気軽にお申し付けください。