2020年3月号

舌は内臓の今の状態を教えてくれる

東洋医学では、舌を非常に重視しており、舌を診て体調を診断しる「舌診(ぜっしん)」という診断法があります。
舌は腸や胃の先端についていて、内臓と直接つながっています。つまり、舌は内臓の先端だから、舌を見れば内臓の状態を教えてくれると考えられているのです。
舌のフチが歯の形にデコボコした状態を、漢方では「歯痕舌(しこんぜつ)」といいます。考えられる原因は、食べすぎや飲みすぎで胃腸が疲れている状態です。とくに冷たい物や甘い物は、どちらも体の中に水を引き込んで、水を貯めやすくします。それが胃腸の水はけを悪くして、冷えやむくみの原因になります。

また、いつも舌の同じところを噛んでしまうのは、舌がむくんでいて噛みやすくなっていることが考えられます。
舌のむくみを取るには、胃腸の水はけをよくすることです。それには、アズキの煮汁やソラマメ、インゲン、エンドウなどの豆類が利水(水の配分を調整する作用)に優れています。

舌はピンク色でうっすら白い舌苔があるのが理想

舌を見るだけで内蔵の状態がわかる舌診は、鏡さえあれば誰でもできます。普段からご自分の舌をよく見て、内蔵からのサインを見逃さないようにしましょう。
舌診をする際のポイントは、舌と、舌の表面を覆っている舌苔(ぜったい)の両方を見ることです。舌苔は、舌の糸状乳頭(しじょうにゅうとう)という突起にたまった食べカスなどで、舌の垢のようなものです。垢ではありますが、舌の粘膜を保護するという役目もあるので、ほどほどには必要です。理想的な舌は、ほどよいピンク色で、白い舌苔が薄くついている状態です。舌本体の色は、赤みが強くなるほど、体の冷えが強くなります。
また、舌クリーナーなどを使い、ときどきお掃除してください。舌苔がたまると、口臭や誤嚥性(ごえんせい)肺炎の原因になります。歯ブラシでゴシゴシこするのは禁物です。舌を傷つけてしまいます。

舌診を行うときのポイント

  1. 起床後すぐ見る

    舌診の前に食事をとったり歯みがきをすると、状態が変わってしまうのでその前に行います。
  2. 舌と舌の表面を覆う苔を見る

    舌の形や色、むくみがないか、舌苔の色や量をチェック。
  3. 毎日見るから、違いがわかる

    いつもと違うと思ったら、食べすぎや飲みすぎに注意し、甘い物や冷たい物を控えましょう。