2021年5月号

お口の中の粘膜疾患とは?

お口の中は口腔粘膜(こうくうねんまく)と呼ばれる粘膜で覆われ保護されています。この粘膜に症状が出る疾患を口腔粘膜疾患と言います。 口腔粘膜疾患には口腔粘膜だけに症状が出る場合・なんらかの身体疾患の影響が口腔粘膜に症状として出る場合・アレルギーなどが原因の場合・また悪性腫瘍(癌)の場合もあるなど多岐にわたっています。 お口の中は食事、歯、入れ歯などにより汚れやすく常に刺激も受けるので感染をおこしやすく、悪化しがちなので早めの受診が必要です。

代表的な口腔粘膜疾患

病名 症状 治療法
アフタ性口内炎 直径数ミリ大の円形の浅い潰瘍です。食べ物や歯ブラシなどがちょっと触れただけでもズキッとした強い痛みを覚えます。また刺激性の食物や熱いもの、塩辛いものがしみたりします。 何もしなくても1〜2週間で治りますが、再発を繰り返す場合は副腎皮質ステロイド薬入り軟膏や口腔粘膜貼付錠、うがい薬などを処方します。
白板症 頬粘膜(きょうねんまく)や舌、ときには歯肉にみられる白い病変です。白板症は比較的頻度も高く、とくに舌にできたものは悪性化する可能性が高いので長期的な経過観察が必要です。 ビタミンAを投与したり、禁煙により治癒することもあります。潰瘍を伴うもの等は癌化する可能性が高いので、切除します。
口腔カンジダ症 真菌(カビ)によっておこる口腔感染症です。急性型と慢性型があり、痛みや味覚障害が出ることもあります。だ液量の減少などにより、カンジダ菌が増殖することが原因です。 口腔内の清掃、抗真菌薬を含むうがい薬や塗り薬を使用しますが、抗真菌薬の内服が必要となることもあります。
帯状疱疹 子供の時になった水痘のヘルペスウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が、神経内の付け根に残っていて、体調が悪いとそれが活性化されて発症しますが、全身に広がることはありません。 抗ウイルス薬、消炎鎮痛薬のほか、二次感染の予防として抗菌薬の投与を行います。また、うがい薬やトローチで口腔内を清潔にします。
扁平苔癬(へんぺいたいせん) 頬粘膜(きょうねんまく)に多く現れますが、舌や口唇もなることがあります。角質化した白い粘膜がレース状にでき、周囲が赤くなるのが特徴の慢性炎症性疾患です。 うがい薬や副腎皮質ステロイド薬を含む軟膏を使います。金属アレルギーが疑われる場合は、詰め物やかぶせ物を除去する必要があります。
定期検診の際には、歯や歯肉だけでなく舌や粘膜の状態についても、かかりつけの歯科医にチェックしてもらいましょう!