2022年10月号
歯の根のむし歯に要注意 加齢や歯周病が引き金に
Q.先日久しぶりに歯科医院を受診したら、歯の根の部分にむし歯が多発している
といわれました。なぜ、根の部分ばかりむし歯になるのでしょうか?また、対策や予防法があったら教えてください。
A.歯の根の部分(根面)に発生するむし歯を「根面う蝕」といいます。歯の根の部分はセメント質や象牙質でできています。歯の頭の白い部分(エナメル質)と違って、歯を溶かす酸に弱く、むし歯をつくる細菌が容易に侵入しやすい構造をしています。
健康な状態では根面は歯肉の中に埋まっており、根面う蝕になることはありません。しかし、加齢や歯周病などにより歯肉が下がってくると露出し、そこから根面う蝕になります。
お口の自浄作用が低下し、清潔な状態の維持が困難になると、根面う蝕のリスクは急激に高まります。口呼吸や薬の副作用などが原因で生じる口腔乾燥症(ドライマウス)や、加齢、病気などによる口腔周囲筋の機能低下があると、リスクを上げることが知られています。
Q.根面う蝕を防ぐには?
A.予防には歯肉退縮を防ぎ、むし歯になりにくい環境をつくることが大切。歯科医院での定期的な口腔内清掃や歯周病治療が必要です。また、むし歯の予防にはフッ化物が有効ですので、日常的な根面う蝕の予防策として、フッ化物配合の歯磨き剤を積極的に用いて歯磨きをするようにしましょう。
Q.根面う蝕の治療法は?
A.根面う蝕になってしまったところは削って修復処置を行いますが、再発しやすいので注意が必要です。状態によっては、むし歯の進行を抑制する薬を塗布する場合や、そのまま経過をみることもあります。