2023年10月号

万病のもと「歯周病」に気を付けよう!

歯周病の特徴

歯周病の原因である歯周病菌と、むし歯の原因のむし歯菌は、まったく性格が違います。
むし歯菌は甘いものとデンプンを好みます。対する歯周病が主食とするのはタンパク質と鉄分。そしてタンパク質と鉄分を豊富に含む物質が口の中にはあります。血液です。歯磨き不足で歯垢が溜まって歯周病が始まると、歯と歯茎の間に歯周ポケットと呼ばれる隙間ができます。歯茎の炎症によって出血が始まると、ここに血液が溜まります。すると歯周病菌は歯周ポケットの中で増殖し、歯磨きの度に血液が押し出されることになります。歯磨きの出血は歯周病の始まりのサインなのです。
歯周病の恐ろしいところは、歯を失うだけでなく、歯や歯茎とは一見接点のなさそうな全身の臓器に起きる重大疾患と大きな関係を持っている点なのです。歯周病が増悪因子になる全身疾患は、糖尿病や関節リウマチなど、細かなものを入れれば百を超えるといわれています。

リスクはその他にも・・・

歯周病が原因となって病態を増悪させる全身疾患は、動脈硬化、大腸がん、骨粗しょう症、早産や低体重児出産、認知症、誤嚥性肺炎など広範囲に及びます。見方を変えると、健康長寿のためには歯周病を予防することが不可欠ということになります。このことは歯科だけでなく、医科を通じた医療界全体での共通認識になっています。