2008年10月号

ドライマウス(その症状・治療)

しょうゆがしみて痛い人はドライマウスの疑いが・・・

しょうゆがしみて痛い人はドライマウスの疑いが・・・
最近、ドライマウスという病名をよく耳にしませんか?
緊張したり強いストレス下にさらされると、口の中がカラカラに乾いて舌の動きまで悪くなった、といった経験をした方も少なくないでしょう。
しかしドライマウスという病気になるともっと深刻な症状が出てきます。
この病気は圧倒的に女性に多く、更年期に患者数が急増します。女性が多いのは、女性ホルモンが関与しているからだといわれています。
女性ホルモンは皮膚粘膜を保護して潤いをもたらす働きがありますが、唾液の分泌とも関係があります。若い世代でもストレスなどの影響でホルモンバランスが乱れたり、更年期になって女性ホルモンの分泌量が低下すると、唾液の量も少なくなってしまいます。
そのために口の中が乾いて、口の中が粘るような不快感を覚えるようになり、さらに乾きが慢性化すると、舌の表面がひび割れたり舌や口の中が痛んだりします。さらに食べ物が飲み込みにくい、スムーズに下が回らない、しゃべりづらいというトラブルを訴える人もいます。
ちなみに、健康な成人は1日あたり平均1~1.5リットルの唾液を分泌しており、口の中には常に2~3ミリリットルの唾液が存在しているといわれています。また、唾液分泌は一般的に夜間は減少し、唾液の働きも低下しますので、夜眠っているとき、ドライマウス症状が強く出るという訴えがよくあります。

唾液は単に口の中を潤わせているだけでなく、ほかにも重要な働きをしています。

  • 口の中をきれいに洗い流す
  • 抗菌作用で体の健康を守る
  • 食べ物の消化を助ける
  • 粘膜を保護して傷を治す
  • 口の中のpHを調節する
  • 発生を円滑にする
  • 再石灰化作用で歯を守る

などです。
そのためにドライマウスが続くと口内炎ができたり、口臭がひどくなったり、虫歯や歯周病が進んだりすることもあります。

ドライマウスは命にかかわる病気ではありませんが、日常生活での支障は大きく、QOL(生活の質)が著しく損なわれることがありますので、歯科口腔外科のドライマウス外来に相談するとよいでしょう。

唾液が少なくなる原因はいろいろ考えられています
ドライマウスはいろいろな原因で起こります。
女性ホルモンの分泌低下や加齢のほかに、糖尿病や甲状腺機能異常などの全身病でも、過度のストレスや抑うつなどでも起こります。
抗うつ剤や抗不安薬、精神安定剤、睡眠薬などの向精神薬や降圧剤の副作用でもたらされる場合もあります。
また、唾液は唾液腺から分泌されますが、唾液腺そのものが壊れたり、働きが低下したりすれば、唾液の分泌量は少なくなります。

セルフケアと薬で痛みや乾きを軽減
手軽に使える保湿ジェルや保湿スプレーを使用する方法があります。
市販の保湿ジェルなどの製品には、唾液と同じ酵素が含まれているものもあり、夜中の乾燥がつらいという方は、夜寝る前に口腔内に縫っておくと効果があります。

唾液の分泌を促すような食品
レモン、梅干、酢の物などを積極的に摂り、香辛料など刺激の強いものや、口腔粘膜にひっつきやすい食品などは控えるとよいでしょう。また、口の中が乾かないようにと、飴やガムなどをいつも口の中に入れている人がいますが、糖分が含まれていると虫歯をつくりやすいので、注意が必要です。

ドライマウスの場合も、常に口腔内の清潔や環境を整えることが大切です。
定期的に歯垢や歯石を除去したり、かみ合わせのチェックを忘れないようにしましょう。