2019年4月号

歯周病を治せば糖尿病も退く!

歯周病を治せば糖尿病も退く!

〜18キロやせ、高血糖を見事克服した専門医N氏の秘策〜

現在の日本の糖尿病人口(予備軍を含む)は、2017年の厚生労働省で2000万人とされています。高血糖・糖尿病が急増している原因の一つに歯周病が関係し、全身の健康状態と「お口の健康」の関連が医師たちの間で注目されています。

歯周病があると糖尿病が悪化しやすく、糖尿病があると歯周病が悪化しやすい、といった相互関係が指摘されているのです。

N氏は糖尿病専門医という職業にもかかわらず、自分の体にはほとんど無頓着で、体重92キロ、血糖値が高めの「糖尿病予備軍」。そのほか血圧も高く、重症の不整脈も併発していました。

しかし、愛媛歯科医師会とともに、「糖尿病と歯周病に関する共同研究」を立ち上げたのをきっかけに、歯周病の治療を開始。歯垢や歯石をきれいにとってもらい、正しい歯みがきや歯間清掃を習慣づけたところ、体に素晴らしい変化が表れたのです。

歯周病の改善とともに体重がみるみる減っていき、約1年で18キロ減のダイエットに成功。それに伴って血糖値も下がり、見事、糖尿病予備軍を脱することができたのです。そして、高血圧も不整脈も、抱えていた病気は退散しました。

血糖値が改善した重要な理由

歯周病が血糖値を上昇させる大きな原因は、「慢性炎症」なのです。炎症が起こると、そこに悪玉ホルモン(炎症性サイトカイン)が生じます。歯周病の場合、歯周病菌と免疫細胞との闘いで、歯と歯肉のまわりに悪玉ホルモンが次々と産生されます。

この悪玉ホルモンは、弱って出血した歯ぐきから血管内に入り込み、インスリンの働きを阻害するのです。すると、血糖値が下がらず高血糖が続くようになります。高血糖になると、免疫力が低下して歯周病菌がさらに増殖。それに伴って、血中の悪玉ホルモンも増えてインスリンがより効きづらくなる悪循環に陥っていくわけです。

N氏は、歯周病の治療で歯周病菌を退治して慢性炎症を解消したほか、肥満から脱出したおかげで、血糖値を下げることに成功したのです。